インボイス2割特例だと経理で消費税判定しないとどうなる?
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2割特例の問題
昨年はインボイスがなにかと話題になりました。
新たに消費税の課税事業者として、今回、消費税の申告をなされたかたは多いのではないでしょうか。
国は、一年目のゴタゴタを少しでも回避させようと2割特例なるものを準備しました。
2割特例とは、インボイス申請をしたことにより、消費税の課税事業者になったかたにだけ認められる消費税の計算方法です。
インボイス2割特例が使えても、経費にかかる消費税は把握しておく
この2割特例を利用すれば、仕入れや経費として支払ったコストに対する消費税を計算する必要はありません。
売上にかかる消費税を計算すれば、その2割を納める消費税として申告すればいいのです。
ただ、この2割特例にも問題があります。
というのも、この2割特例は期間限定の法律だからです。
インボイス2割特例だと経理で消費税判定しないとどうなる?
「三年限定」その後は?
この2割特例は、三年の期間限定の法律です。
2023年10月からスタートし、2026年の9月末に終了します。
個人であれば、
- 2024年
- 2025年
- 2026年
と、あと三回利用できます。
法人だと、2026年9月末を含む事業年度終了の日まで。
3月決算であれば、2027年の3月末が期限となります。
このあいだ、ずっと2割特例を使えるのですが、それが終わると2割特例は使えません。
もちろん、法律が延長される可能性はありますが、なかったら、その後は、従来通りの計算をすることになります。
従来通りの計算とは、一般課税と簡易課税の2つ。
まずは、一般課税と簡易課税の意味を抑えておきましょう。
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一般課税と簡易課税
一般課税は売上にかかる消費税と仕入れや経費にかかる消費税をすべて計算して、その差額を国に納める計算方法です。
仕入れや経費にかかる消費税のほうが多ければ還付(戻ってきます)されます。
対して簡易課税は、2割特例と似ています。
売上にかかる消費税はそのままで、仕入れや経費にかかる消費税は、実際に払った額ではなく、「みなし仕入率」を使って計算します。
みなし仕入率は業種ごとに区分されています。
- 卸売 90%
- 小売 80%
- 製造・建設 70%
- その他 60%
- サービス 50%
- 不動産業 40%
仮に、サービス業を営むかたが、売上660万(消費税60万)で簡易課税を利用したなら、
60万―60万×50%=30万円
30万円を国に納めることとなります。
簡易課税だと、売上にかかる消費税だけ抑えておけばいいので、一般課税に比べると経理は格段と楽になります。
どっちが有利かは自分で調べる
ただ、この簡易課税、実際に仕入れや経費として自分が支払った消費税よりも多ければいいですが、少ない場合だと、本来納める消費税よりも多く納めることになります。
そうならないためにも、安易に2割特例や簡易で計算するだけでなく、実際に支払った額ベースの一般課税でも計算しておく必要があります。
一般課税で納める消費税を計算した上で、簡易課税で算出した消費税と比べて有利不利を判定します。
これをやるには、普段の経理から仕入れや経費にかかる消費税を把握すること。
具体的には、会計ソフトを利用しているなら、取引一つ一つに消費税コードを入力します。
消費税コードは、どんな会計ソフトにも付いています。
ただし、免税事業者のままだと、消費税コード入力する枠が出てきません。
基本情報で、免税事業者から「課税事業者」へ変更しておきましょう。
消費税の設定、インボイス関連については、単発スポット相談や個別コンサルティングでも承っています。
2割特例で申告するのは楽ですが、あとあと大変になる、もしくは、損するリスクが高まります。
消費税の有利不利判定ができるよう、仕入れや経費にかかる消費税を把握しておきましょう。
まずは50点を目標に
消費税は税理士であってもミスしてしまうややこしい制度です。
事業者のかたが、本業をしながら正確な情報を抑えるのは簡単ではありませんが、決算や申告時にまとめてやるのはもっと大変でしょう。
まとめてやろうとするのではなく、常に情報をキャッチアップしながら、少しずつ経理の精度を高めていくことは大事です。
メルマガでは、そういったことにも触れています。
まずは、50点を目標にスタートし、徐々に点数を上げていくのが現実的でしょう。
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