親子間で土地を渡すなら譲渡 or 贈与?
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税対策よりも相続対策
生前、親が子供に土地を渡したい場合、譲渡がいいのか、贈与がいいのか?
どれがいいのかは、目的にもよるでしょう。
税金を安くしたい相続税対策であれば、相続までもっておいたほうが優遇される制度がたくさんあります。
生前に譲渡や贈与をすると、こうした優遇制度を受けることができないので、税金は高くなります。
とはいえ、税金の面で言えばの話しであって、税金うんぬんよりも、相続そのものの対策をしたいかたもいらっしゃるかと。
多少の税金を払ってでも、生前の元気なうちに土地を移したいと。
特に、モメるリスクがあれば。
では、こうした場合、譲渡がいいのか、贈与がいいのか考えてみました。
親子間で土地を渡すなら譲渡or贈与?
譲渡の場合
親子間で譲渡する場合、売買価格をいくらに設定するのかは難しいところ。
通常の取引であれば、不動産会社といった第三者との取引となるので、売った価格に疑義が生じることはありません。
高すぎても安すぎてもダメで、後から税務署の修正が入るリスクがあります。
では、いくらにすればいいのか?
路線価評価は相続や贈与時に使う評価であり、固定資産税評価は相続や贈与時の建物には使えても土地には利用できません。
そうなると、不動産鑑定士に依頼して評価してもらった評価額がもっとも信ぴょう性があるでしょう。
ただ、不動産鑑定士に依頼した価格で売ったとしても、親子間の土地譲渡には注意が必要です。
- 居住用不動産譲渡の3,000万円控除→親子間は使えない
- 10%の軽減税率→親子間は使えない
第三者でなく身内間の譲渡であるので、税務上の特典を受けることができません。
結局、通常通りの高い所得税率(短期30%、長期15%)で税金がかかります。
仮に、不動産鑑定士による評価が3000万円で、取得価格が2000万円だと差額の1000万円に対して所得税15%(復興特別所得税は含まず)住民税の5%を合わせると20%の譲渡所得税がかかります。
1,000万円×20%=200万円
安くはありません。
さらに、子からお金をもらったら、そのお金は親の資産となり、将来的に相続財産となります。
お金をもらわなくても、親から子に対する未収金は債権となるので、これまた相続財産となります。
もちろん、親がもらったお金を使って減らせば、資産は目減りします。
また、子がどうやって土地の取得資金を捻出するのか?
トータルで考えても、親子間での土地譲渡は、あまり現実的ではありません。
贈与の場合
一方、親が子に土地を贈与した場合はどうなのか?
暦年贈与だと税金が高くなるので、やるなら相続時精算課税でしょう。
さきほどの不動産鑑定士に評価してもらった土地。
- 評価額(時価)3,000万円
- 相続税評価額(路線価) 2,400万円
この場合、精算課税は2,500万円まで無税なので、贈与税はかかりません。
2500万円を超えると、超えた額に一律20%の贈与税がかかります。
払った贈与税は、将来の相続税から差し引いてくれます。
仮に、路線価評価額が3,000万だと、
- 3,000万円-2,500万円=500万円
- 贈与税 500万円×20%=100万円
名義を変えるだけで100万円は結構な出費です。
税金対策にはなりませんが、生前に自分の意志を表示することができます。
また、土地以外に大きな財産が他になく、将来相続財産に足しなおすことがないなら、2,500万円以内の無税で贈与しておくことは相続対策になります。
一点、将来、相続財産となる場合、80%控除、2割で評価できる小規模宅地等の特例が受けられないところは注意が必要です。
その他の税金も要注意
親子間で土地を引き渡すなら、「譲渡か?贈与か?」についてお伝えしました。
どちらも、税金対策とはならないのでお勧めしません。
とはいえ、土地以外に財産がなく、かつ、2500万円の枠内で贈与できるならありかなと。
ただし、これも、登録免許税が高く、不動産所得税がかかるので注意が必要です。
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