相続時精算課税よりもコツコツ贈与をしておこう<No 1140>

「相続税はかからない」とは100%言い切れない

贈与があった場合、

  • 暦年贈与を使うのか
  • 相続時精算課税を使うのか

悩ましいところです。

元々、資産がそれなりにあり、将来的に相続税がかかるのがわかっている方であれば、
暦年贈与でコツコツ送ったりするのでしょうが。

そこまでの規模でない方でも、数百万円ぐらいであれば贈与する機会はそれなりにあります。

仮に300万円を親から子に贈与する場合、暦年贈与と精算課税のいずれを利用するのか?

暦年贈与であれば、110万円を超えるので贈与税がかかります。

300万✕15%−10万円=35万円

対して、精算課税だと2,500万円まで無税で、超えた部分に対して20%の税金が課されます。

300万<2,500万で贈与税は0円です。

35万円払ってなにかモノがもらえるのなら支払いますが、ただ名義が変わるだけ35万円支払うのは誰しも気が進まないでしょう。

故に、お金のかからない精算課税を利用しがちですが、将来に資産状況が変わることが100%ないとも言い切れません。

そうしたときにどうなるのか、考えてみました。

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相続時精算課税よりもコツコツ贈与をしておこう

思わぬ財産が入ることもある

生前、将来的に相続税はかからないだろうと相続時精算課税を利用して贈与していたとします。

しかし、思わぬ財産を築かれて、相続税がかかる規模になってしまったら生前贈与の取り扱いはどうなるのか?

通常の暦年贈与であれば、相続財産に加算されるのは、相続開始前三年以内に贈与された財産だけです。

相続開始時点で三年経っていれば、相続税の対象にならず、贈与税だけで完結します。

110万円以下の贈与であれば、無税で財産移転ができたことになります。

一方、相続時精算課税は、どれだけ年月が経っていても、贈与した財産を相続財産に含めて相続税を計算することになります。

入口(贈与)を無税で切り抜けたものの、出口(相続)できっちり税金が課されてしまうのです。

非常に稀ではありますが、100%ないとは言い切れないことなので、入口時点でしっかり対処しておきたいところです。

できることは、

  1. 暦年贈与でコツコツ贈与すること
  2. 家の購入資金なら「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の特例を使う
  3. 学費に充てるなら「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」の特例を使う
  4. 結婚資金に充てるなら「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」の特例を使う

こと。

2は500万から1,500万、3は1,500万、4は1,000万まで贈与税は無税で、相続開始時点で3年経っていれば相続財産には加算されません。

入口で精算課税を選ぶのは楽なのですが、将来の万が一に備えて暦年贈与か贈与の特例を使った方がリスクは軽減されます。

相続人が複数いる場合

相続人が妻と子供一人である場合、生前に精算課税を子供に対して利用したのであれば、
相続税が加算されるだけで、家族間で揉めることはありません。

一方、子供が複数人いる場合はどうなるのか?

  • 長男に対して事業資金100万円✕3回を援助(※単年で100万以下で贈与税の申告せず)
  • 二男に対して住宅資金300万円を贈与して精算課税を利用

この場合、二人への贈与が相続開始までに3年経過していても、二男に対して贈与した300万円は相続財産に加算され、長男に援助した事業資金については贈与税も相続税もかからないことになります。(※連年贈与で課税される恐れがあるため、金額を変えた方がいいでしょう)

二男が長男への贈与の事実を知らなければ問題ありませんが、遺言書の付言で贈与に対する言及があれば知ることになります。

仮に、相続時の財産分与が均等でも、二男は長男よりも多めの相続税を払うことになります。

そうすると、贈与するのであれば精算課税は使わずに、暦年課税あるいは前述の贈与の特例を使うことにより兄弟間で統一しておいた方が良いでしょう。

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