相続税の土地評価で気を付けるべき点。評価通達6項に注意<No 242>

財産評価の基本

相続により取得した財産の価額は、
相続税法で特別に評価方法が
定められたわずかな種類の財産のほかは、
「時価」によって評価するものとされています。

 

では、時価とは

税金を計算する上で、
この「時価」について
特別に定められた法律はありません。

裁判例では、

課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われた場合に通常成立する価額をいう

(東京地判平成7年7月20日行集46巻6=7号 701頁)

と、小難しい言い方がされています。

実際に取引されている価額であることは、
なんとなく雰囲気からわかります。

現金や預貯金であれば、金額そのものを
数えるだけで済みます。

また、株や債券などの金融商品なら
市場があるので、相続が起こった時
(死亡時)の市場価格で算定すること
が出来ます。

 

取引がない不動産なら?

しかし、土地や建物などの不動産については
売りに出されているものであれば取引価額が
ありますが、住んでいる土地であれば、
売りに出さない限り値がつくことはありません。

そもそも、相続が発生したときに住んでいる
土地を売りに出していることはレアです。
(意図的にグレーな売買をしていない限り。
実際、そういった裁判例は多いですが。)

そこで、国税庁は「財産評価基本通達」
という内部規定を設けており、税務職員は
これに従って土地の評価を行います。

また、実務上、税理士もこの評価通達
に従って相続財産の評価をして、
相続税の申告書を作成しています。

 

実務上の土地の評価

評価通達に定められた土地の評価には、

  • 路線価方式
  • 倍率方式

の二通りの方法があります。

例えば宅地だと、
市街化区域にあれば路線価評価で
それ以外であれば倍率方式で評価
します。

 

路線価方式

路線価方式は、
その土地に面している路線の価額を
毎年、国税局長が定めます。

この路線の価額に地積を乗じたのちに、
それぞれの特殊事情を加味して
その土地の価額を算出します。

 

倍率方式

倍率方式は、
固定資産税評価額に一定割合を
乗じて計算した金額で評価します。

 

問題点

これらの評価は、時価を見積もる
ことが困難であることから設けられ
ています。

しかし、これらの評価方法を利用して
相続財産を低く評価する手法も多く
見られます。

タワーマンション購入を利用した
節税スキームもその一つです。

これらの節税スキームの多くは、

相続税評価 < 実際の売買価格

である物件を購入します。

1億円のタワーマンションの相続税評価額が、
7千万円であるならば、差額の3千万が
相続財産から圧縮されます。

相続税評価額が7千万円であっても、
実際の取引価額が1億円であれば、
相続後に売れば1億円は戻ってきます。

ただし、このような目立ちすぎる
節税スキームには税務当局も
蓋をしようとしています。

 

財産評価基本通達6項

税務当局は、

  • 相続税評価額と実際の取引価額に著しい較差があるか
  • 節税を意識した意図的な取引であるか

この辺を注意して見ています。

そして、あまりにやり過ぎた節税に対して、
国は財産評価基本通達6項という伝家の宝刀を持っています。

この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。

この規定によって、相続税評価額と
実際の取引価額との間に著しい較差
があると判断されたなら、国は
国の都合で評価すること出来ます。

 

何事もやり過ぎに注意

過去の裁判例を見ていると、
気付くことがあります。

特に、納税者側が負けた判例に
多くみられるのは、
意図的かつ、やり過ぎた節税です。

課税庁(税務署、国税局)が、より多くの
税金を徴収しようとするスタンスは当然です。

しかし、日本の司法(裁判所)は、
おとなりの国と違って三権分立が
確立されています。

(詳細はこちらの書籍から)

 

裁判所は、課税庁に肩入れすることなく、
常に公平な目で判断します。

その公平な裁判所をもってしても負けてしまう
事例とは、やはり「やり過ぎた節税」なのでしょう。

(武富士事件は例外ですが、その後すぐに蓋がされましたね)

 

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<編集後記>
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