経費になる役員賞与。事前確定届出給与を届出ておくメリット<No 1435>
<プロフィール・ご依頼>
Contents
役員に対する賞与は経費にならない
会社の経営上、役員に支払った賞与の額は経費に認められません。
仮に、支払ったとしても、税金は安くなりません。
役員賞与を認めてしまうと、利益調整に使うことができます。
株式を公開している企業であれば、株主から「賞与よりも配当をあげろ」と言われますが、公開していない中小零細企業だと、誰にも文句を言われません。
その後、会社法の改正により、株主総会で事前に決めた賞与であれば、経費として認めてくれるようになりました。
この賞与のことを、「事前確定届出給与」と言います。
経費になる役員賞与。事前確定届出給与を届出ておくメリット
事前確定届出給与とは
事前確定届出給与は、その名の通り、
- 事前に
- 確定させて
- 届出た
給与のことを言います。
届出た金額を、届出た支給日にキチンと支払えば、経費と認められるのです。
届出方法
事前確定届出給与は、所定の届出書に、
- 株主総会の決議日
- 職務執行開始日
を記載しなければなりません。
また、付表1には次の事項を各人ごとに記載します。
- 賞与を受ける役員の氏名
- 支給する賞与の額
- 支給する日
届出期限
事前確定届出給与の届出書の提出期限は、
- 株主総会(職務執行開始日のいずれか早い日)から1ヶ月経過する日
- 事業年度開始した日から4ヶ月を経過する日
のいずれか早いです。
次の事例によれば、
- 決算日 3月31日
- 事業年度開始日 4月1日
- 株主総会 5月25日
- 職務執行開始日 5月25日
株主総会5月25日から1ヶ月経過する日は、6月24日となります。
一方、事業年度開始日4月1日から4ヶ月を経過する日は、7月31日なり。
早い方の6月24日が、届出期限となります。
事前確定届出給与を届出ておくメリット
一見、使い勝手が悪そうな賞与ですが、やりようによっては節税対策として使えます。
新しい年度がはじまって間もない時期に、次の決算を正確に見積もることは難しいものですが。
ある程度の予算というか、絵に描いた餅でもいいので、予想できる
- 最高利益 100円
- 中央値 50円
- 最低利益(損失)0
を見積もります。
0なら、出せる賞与の額はありません。
中央値の50円程度の利益であれば、役員報酬(給料)で利益調整をカバーします。
事前確定届出給与は、中央値50以上の利益が出たときのために設定します。
最高利益と中央値との差額50の配分は、3割の15を役員賞与に、法人税の支払いに10、残り半分の25を内部留保として社内に貯めておく。
(あくまでも、上積みの50に対しての配分なので、実際は100から事前確定届出給与を差し引いた額に法人税25がかかります)
この場合、届出しておく額は15。
仮に中央値50の利益しか出ない場合、事前確定届出給与15を届出たとおりに支給するか?
中央値50に対して節税対策を何もしていなければ、利益50円から事前確定届出給与15円をとり、差額に対して10の法人税がかかり、残り25を内部留保として社内に貯めておくことができます。
正確な利益を見積ることはできませんので、どれも絵に描いた餅ですが、こんな感じで予算を立てていくと、どこかでしっくり来る数字が出てくるでしょう。
ポイントは、法人税の支払いを無視しない金額設定にすること。
法人税を払いたくないからと、ギリギリまで賞与を支給すると会社にお金が残らないので。
無理にとらなくてもいい
使い勝手の悪そうな賞与ですが、ある程度の年間予算を見積もることができれば、とりあえず届出だけしておくのはありでしょう。
最悪、とりたくなければ、とらなければ良いだけですから。
<メルマガ「社長の仕事術」>
毎週月・木曜の正午に配信。
法人・個人問いません。独立されているかた向け。
駅のホームで電車を待ちながら読めるくらいの内容です。
メルマガに対する質問や疑問にも応えます。
こちらから
<You Tubeチャンネル「独立・開業コンサルタント 税理士 ユウジロウ」>
You Tubeで動画配信しています。
よろしければ、チャンネル登録お願いいたします。
こちらから
<単発・スポット>