給料を外注費とした場合のリスクと対処法<No 1421>
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言葉よりも実態で判断
個人であれ、法人であれ、事業規模が大きくなれば人を雇うことになるでしょう。
言葉通り「雇う」のではあれば給料になりますが、外注費として経費にされていることがあります。
人件費を払った場合、給料か外注費かの判断を間違えると、必要以上に税金を支払うリスクが生じます。
給料か外注費かで迷ったら、言葉よりも実態を見ながら判断します。
給料を外注費とした場合のリスクと対処法
判断
給料か外注費かの判断は実態を見ながら判断します。
雇う、雇われるの雇用関係であれば「給料」となり、事業者同士の委任関係や請負契約であれば「外注費」となります。
さらに、独立した立場で仕事に関わることができれば外注費の要素がありますが、そうでなければ社員としての雇用関係になるでしょう。
また、請求書・領収書発行の有無も問われるところです。
給料なら給与明細を、外注費にするなら請求書・領収書で現場ごと・サービスごとの対価を明らかにした上で発行しなければなりません。
請求書・領収書がない、給与明細がない、現金手渡しだと給料としても外注費としても、経費自体認められないリスクが生じます。
リスク
人件費を外注費として経費に入れている場合、外注費としての実態がなく、税務調査にて給料として課税されるとどうなるのか?
消費税の仕入税額控除が認められない
給料なり、外注費なり所得税の計算上はどちらも経費になりますが、消費税の計算では、
- 外注費は課税→消費税が含まれる
- 給料は非課税→消費税が含まれない
となります。
そうすると、外注費に係る消費税が認められず、追徴課税の対象となります。
最低3年分、長ければ5年遡って修正する必要することになります。
給与課税による源泉徴収
外注費として経理していた支出が、税務署に給料として判断されてしまうと、消費税の追徴だけでなく、給料に係る源泉所得税の追徴も同時に発生します。
給料を払う場合、事業主は給料に係る所得税を計算する源泉徴収義務者となります。
事業主が支払う給料から事前に所得税を天引きし、支払日の翌月10日までに税務署へ支払います。
(社員10名未満であれば、届け出をすることで半年ごと)
キチンと源泉所得税を支払っていればいいですが、外注費として処理していたがために、源泉所得税を払っていないとなると、数年遡れば結構な額になります。
正社員数名雇っていれば、数百万円になることもあるでしょう。
対処法
外注費にするなら、外注先が独立した立場で業務を行っていることを前提とした上で、
- 現場ごと、サービスごとの単価設定(外注先)
- 請求書・領収書の作成と発行(外注先)
- 請求書・領収書の保存(自社・事業主)
が必要です。
振り込みであれば領収書は不要ですが、現金だと通帳に痕跡が残りませんので、領収書は必ずもらいましょう。
ネットを介してのやり取りであれば、PCやクラウド保存して、あとから検索できるようにしておきます。
紙であれば、スキャンしてデータで保存するか、紙のままで保存するか。
スキャンして保存する場合はタイムスタンプが必要なので、対応しているソフトやサービスが必要になります。
こうした書類のやり取りができない場合は給料として処理します。
給料として処理するにしても、
- 給料から源泉所得税の天引き
- 給料明細の作成・発行・控え保存
- 社員さんに扶養控除申告書を記載してもらい、事業主が保存
- 預かった源泉所得税を翌月10日までに支払い
- 給与台帳の作成
- 年末調整
あたりはやっていないと、あとあと追徴課税の対象となります。
扶養控除申告書がなければ、甲欄でなく乙欄で天引きするので税額は高くなります。
メモ書き&現金手渡し、給料明細ナシ、源泉徴収ナシだと、給料としての経費も認められないリスクが生じます。
給料として処理するのであれば、給料明細はもちろんのこと、給与台帳で社員さんごとに年間給料がひと目でわかる状態にしておきましょう。
経理のために余力は残す
外注費であれ給料であれ、支払った金額を経費にするのであれば、証拠書類は残しておかなければなりません。
外注費であれば、請求者や領収書を外注先につくってもらい、給与であれば、給料明細・給料台帳を事業主自身がつくります。
つくっただけでなく、キチンと保存しておかなければ証拠になりません。
仕事に全力を使ってしまうと、このあたりの余力が残ってきません。
故に、余力は残しておきましょう。
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