税金・会計

税務調査に納得いかない場合はどうなる?納税者ができる手続き<No 88>

yujiroyamamoto

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再調査の請求

以前は、「異議申し立て」と呼ばれた手続きで、税務署内での別の担当官が、税務調査のやり直しをする手続きです。

私も、「税務署員がするのなら同じ結果」とその効果を疑問に感じていましたが、

「三つの争訟手続のうち、再調査の請求が、納税者が勝つための最大のチャンスであるケースが多い。再調査という言葉の語感にとらわれて食わず嫌いを起こさないでほしい」

日本経済新聞社編『税金考 ゆがむ日本』(日本経済新聞出版社、2016年)103頁

と、過去、多くの租税争訟を手掛けてきた山下貴税理士は、納税者にチャンスがあることを指摘しています。

税務調査に来る担当調査官はタイトな日程で、一定の成果を求められています。

ですので、ある意味「教科書通りの」納税者にとっては厳しい判断をすることになります。

クロはもちろんクロだと。

そして、グレーも「クロ」ですよと。

これに対して、その場で適切な対応を取ることが出来なくても、後日、個々の取引に対する

  • 事実を証明する資料の提示
  • 法律にのっとった適切な処理であることの証明

など、根気強く説明することにより追徴課税を回避することが出来ます。

国税不服審判所への審査請求

再調査の請求で、納得いく回答が得られなければ、国税不服審判所へ審査請求を行います。

国税不服審判所は、各国税局の所在地に設置されています。

これまで、国税不服審判所の審判官は、国税職員の中から任命されていたため、
国税よりの裁決(裁判でいう判決)が多い印象でした。

しかし、税理士・弁護士などの外部の有資格者にもその門戸は開かれ、
その印象は変わりつつあります。

以前、税務の業界紙で、審判官の募集と、実際に税理士からなられた女性審判官のインタビュー記事を読みました。

国税職員ではなく、こういった民間からの採用は、審議そのものに、より民意が反映される影響はあるかと思われます。

訴訟

最後の砦が、「税務訴訟」です。

訴訟は、裁判所で法律のプロである裁判官が裁きます。

これまで上記二つの手続きは、「税務のプロ」による判断がなされましたが、
税法は数ある法律の一つにすぎません。

よって、裁判官はこれまでの手続き以上に、より広い法律という視野に立って審議を行います。

裁判において、地裁・高裁などの下級審判決は、それまでの類似訴訟をモデルにして、
似通った判決がなされることが多いです。

ただし、昨今の最高裁判決は、法律うんぬんより、国民心情をくみ取ったものが多いように見受けられます。

裁判では、法律の解釈を争うことができるので、これまでの二つの手続きで勝つことが出来なくても、その解釈にそれなりの現実味があるのなら納税者が勝つこともあり得ます。

ただし、訴訟には多額の費用と多くの時間、そして精神的心労が伴います。

費用対効果、そしてリスクも考慮した上での判断が求められます。

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