費用をかけたくないが、リスクもとりたくない。個人が税理士に頼る基準<No 157>
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Contents
自分の基準を決めておく
年末調整で、納税者の方も税理士事務所も忙しい時期になりました。
そして、年末調整が終わると、年明けから所得税の確定申告の準備が始まります。
そうは言っても、1月そうそうに帳面や申告の準備が出来る方は本当にまれです。
というより、税理士事務所がそのように教えていないだけだと思うのですが。
ここ数年で、新規にお客様となられた方には、1月中の資料の準備をお願いし、
クリアーしていただいています。
これからフリーランスになって事業を始めようとお考えの方、
また、会社を作ろうとしている方にとっては、どのタイミングで税理士に相談するのかは気になるところです。
- フリーランスだから自分で申告する
- 会社だから税理士に任せる
と決めてしまうのではなく、なぜそうするのか。
世間の基準を知ったうえで、自分の基準を設けておけば良いでしょう。
個人が税理士に頼る基準
これまでの経験で、税理士が必要な状況なのに、あるいはより緊密に税理士と接触すべきなのに税理士を利用しない方、また、必ずしも税理士が必要とは言えない状況でも税理士にお願いするなど、色んな方を見てきました。
そこで、税理士に頼る基準を書いてみます。
確定申告時の混雑ぶりからもわかる通り、自分で申告される方は少なくありません。
サラリーマンの還付申告や、医療費控除だけなど、自分でやっても比較的リスクの少ないものは費用をかけてまで税理士に頼るものではありません。
書店に並ぶ「これで確定申告は大丈夫」的な書籍でも充分に対応出来ます。
わからなければ、税務署なり申告会場へ行けば教えてもらえます。
ただし、私のように混雑した状況が苦手な方には不向きな環境でしょう。
事前に自宅で落ち着いて、書籍とネットを見ながら作成する方が良いでしょう。
譲渡
逆に個人でリスクを伴うものは、事業所得と譲渡所得です。
譲渡所得は、税務署に備え付けてある「譲渡所得の内訳書」の説明に従って記入します。
事前にネットで入手も出来ます。
そもそも、不動産の譲渡をしたのなら、登記が済んでいるはずです。
そうすれば、登記情報は随時税務署に届いていますので、不動産を譲渡した方のもとに、譲渡の申告書が送られてきます。
一応、手引きのように説明書きがあるのですが、普段見ない言葉が多いので、慣れない方だと、
わけがわからないかもしれません。
不動産の譲渡自体、よほどの地主さんでなければ、生涯に2回も3回もすることはありません。
小規模の税理士事務所なら譲渡の申告がない年もあります。
私は個人の担当が20件ほどしかなかった年に、そのうち7、8件が譲渡申告の年がありましたが、
通常はそんなことはごくまれです。
税理士でも事業所得など、通常の申告とアタマを切り替えて取り組みます。
譲渡所得を自分で申告するリスクは、
- 金額が高額であること
- 税率も高いのでおのずと税額も高額になります
- 有利な規定を利用するための前提条件が多く、また複雑である
- 添付(用意する)資料が多い
などがありますので、これらのリスクを考慮した上で、税理士に頼るかどうかを選択します。
事業所得
自分で申告するメリット
・ 事業を始めたら、最初は自分で申告することをお勧めします。
というのも、税理士にお願いするとそこそこの費用はかかります。
最初からお願いすると、人によってはその費用が「ただ高い」と感じることもあるでしょう。
自分で一度経験することによって、それなりの時間と労力がかかることがわかります。
仮に、「これなら自分でできる」と思われたのなら、その後も自分で出来るので、
税理士費用を抑えることが可能になります。
・ 税金のなかで最もトラブルが多いのは、「消費税」です。
ですので、消費税の課税事業者でなければ、消費税のトラブルは起こりません。
つまり売上1,000万円を超えないような小規模な事業であれば、税務リスクも大幅に減りますので、おのずと税理士に頼らないことによるリスクも減ります。
・ 消費税の簡易課税なら本則課税に比べて断然容易に計算出来ます。
その分、計算を間違えるリスクも低いです。
自分で申告するデメリット
・ それなりに時間がかかるので、本業に支障をきたすことになります。
申告作業にかかる時間を、本業に充てた場合に得られる対価と相談します。
・ 青色申告を初め、税務上の有利な規定は、一定の期間内に提出しなければならないケースが
多いです。その時期を逃すと、税額が大幅に増えることもあります。
事業を始める前に、申告に関するスケジュールをたてておく方が良いでしょう。
・ 自分で申告書を提出し、税務署が受付印を押してくれても、その申告が全面的に認められたわけではありません。
受付担当の方は、必要最低限の形式をチェックしているだけです。
不備があればその後に税務署から連絡があります。
不安であれば、会場で相談することをお勧めします。
・ 税務調査の対象となったら、もちろん直接税務署から調査依頼の連絡があります。
税理士関与であれば、税務代理権限証書というものを申告書と共に提出するので、
納税者の方に税務署から連絡がいくことはありません。
その間に、調査対策が可能になります。
とはいっても、個人での税務調査は申告件数全体の1%ほどです。
ですので、その1%に入らない誠意のある申告書を作成しましょう。
ちなみに、その1%に入ったのなら、税務署は高い確率で「証拠」を持っているでしょう。
自分なりの基準と相場観は持っておく
長年、税務の仕事をしていると、申告書や決算書をさらっと見るだけで、作成した方の性格がわかります。
通常は、誰かしら税理士の作成したものになるのですが、個人であればそれまで税理士に頼らず自分で書いていた方もいらっしゃいます。
個人が税理士に頼む場合には、「売上が1,000万円超えたら」など、自分なりの基準を設けましょう。
「税理士費用ぐらい儲けてやる」ぐらいの意気込みで本業に専念してはいかがでしょうか。
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