副業売上300万円以下で雑所得となる通達改正案。損益通算目当てに副業しない<No 1554>
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副業売上300万円以下で雑所得となる通達改正案
8月、国税庁の通達の改正で、副業の売上が300万円以下である事業者については、事業所得ではなく雑所得とする案が発表されました。
ネット界隈では、概ね反発の意見が挙がっています。
国税庁は、このあとパブリックコメントにて集まった意見を踏まえて改正するかどうか決定します。
私としてはどちらかといえば賛成です。
これまでは、グレーで判断基準がない状態だったので、300万円という誰が見てもわかる数字を示したことは評価します。
ただ、これだけではわからないことが多いので、もう少し踏み込んだ基準が必要でしょう。
損益通算目当てに副業しない
これまでの流れ
給料取りのサラリーマンなら年末調整で、事業者なら所得税確定申告で納税が完了します。
1つの所得であれば単純ですが、複数の収入があると、それぞれの収入がどの所得に分類されるかによって納税額に違いが出ます。
仮に、サラリーマンが副業でネットビジネスを行い年間100万円の収入があるとします。
収入に対する経費が120万で赤字となった場合、副業収入を事業所得とすると、この赤字を給与所得の黒字と通算(差し引くこと)することできます。
通算すると赤字に係る分だけ所得税が減ります。
このように、黒字を他の所得の赤字から差し引くことを損益通算といいます。
給与所得から、事業所得の赤字を通算することはできますが、雑所得の赤字を通算することはできません。
副業が解禁されたあたりから、こういったグレーな節税が横行するようになりました。
副業による収入を事業所得として申告するには、
- 個人事業の開業届け
を提出すれば可能です。
さらに、
- 青色申告の承認申請
を提出すれば、青色申告特別控除を受けることができます。
- 10万円
- 55万円(貸借対照表を提出すれば)
- 65万円(貸借対照表を含めe-Taxで提出すれば)
ただ、損益通算して税金を安くするのが節税なのか?
節税というキレイな言葉を使っていますが、それ以上のお金が赤字事業から支出されているということ。
わざわざお金を失い、赤字にして税金を安くするのが節税なのか?
結局、川下で出ていくお金(税金)を多少抑えても、川上でたくさんお金を使っていたら効果は薄いでしょう。
今後の流れ
年間300万円の基準は、複数の所得がある場合に適用するのか?
1つの所得の場合、開業したてであれば年間300万円となることはざらにあるでしょう。
改正案では、次のように書かれています。
業務に係る雑所得の範囲に、営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得が含まれることを明確化します。 また、事業所得と業務に係る雑所得の判定について、その所得を得るための活動が、社会通念上 事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が 300 万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱うこととします。
)国税庁の改正案より
「主たる所得でなく」とあるので、1つの所得であれば該当しません。
2つ以上の所得があるケースで、メイン以外の仕事を指します。
そうすると、給料取りのサラリーマンが副業をする場合、給与所得が主たる所得となり、副業売上が300万円以下であれば雑所得となるということ。
給与所得以外でも、不動産所得を営む方が行う副業の赤字も該当してくるでしょう。
ただ、売上300万円前後の場合、毎年、所得区分を変更しないといけないのか?
これはこれでややこしいので、事業区分はそのままにしておいて、300万以下の年は損益通算できないようすればいいのかなと。
これならソフトの修正も簡単でしょうし。
売上をあげるほうが至極真当
そもそも、サラリーマンの時点で副業は本業ではないですし、事業所得には成りえません。
とはいえ、これから事業でバリバリやっていこうとしている方が、経済的事情でパート収入で食いつないでいるケースもあります。
こういった場合は、ケースバイケースで、キチンと本気で事業で取り組んでいることを示せば問題ないのでしょう。
損益通算は結果であって、本気で事業を取り組んでいる人は、そこは意識していないはず。
事業で売上をあげるほうが至極真当ですから。
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