フリーランスが法人つくるなら、株式会社 or 合同会社?会社の最後も想定しておく

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フリーランスが法人つくるなら、株式会社 or 合同会社?
ひと昔前、有限なら300万、株式なら1,000万必要だった会社設立時の資本金、今は、1円からでも作ることができます。
さらに、合同会社だと、設立費用を抑えられます。
Amazonが合同会社であることも、合同会社を選ぶ一因になってるのかもしれません。
とはいえ、会社をつくるのは簡単ですが、会社の最後も考えておいたほうがいいでしょう。
会社の最後も想定しておく
会社清算には手間暇かかる
会社を清算するには費用がかかります。
具体的には、解散時の登記と申告、そして清算時の登記と申告が必要です。
これらの手続きには手間もかかります。
会社をつくるときは、大きな熱意があるものですが、会社を清算するときにその熱意を持ち続けているか?
結果として、登記や申告に手間とお金をかけることが困難になるリスクがあります。
社長借入金がある場合の清算の難易度
家族に迷惑をかけないためにも、会社をキチンと清算したいと考える人は多いはず。
しかし、長年経営し赤字が続いている会社では、事業継続のために社長個人が会社に資金を補填しているケースが少なくありません。
その結果、会社の決算書には社長からの借入金が数百万円、場合によっては数千万円残っていることがあります。
会社を清算してなくすためには、この社長借入金を清算する必要があります。
しかし、赤字続きで債務超過の会社に、そのような資金的余裕はありません。
このような場合、会社は社長に債務を免除してもらうしかありません。
ひとり社長やオーナー社長であれば、この点はクリアできます。
ただし、会社が債務を免除されると、「債務免除益」という経済的利益を得ることになります。
借方:借入金 / 貸方:債務免除益 1,000万円
これは、本来支払うべき借金の返済を免れたことによって得た利益と法人税法上解釈されます。
では、これに対して法人税はかかるのでしょうか。
国税と地方税合わせて30%とすると、およそ300万円の税金がかかります。
しかし、長年、債務超過の会社が赤字で会社を畳むのに、税金を支払う余裕はありません。
そこで、この債務免除益から、これまでの累積赤字を差し引くことができる規定があります。
赤字には、「青色欠損金」と「期限切れ欠損金」の2種類があります。
累積赤字の確認方法は以下の通りです。
- 青色欠損金: 法人税申告書 別表4 欠損金の合計額
- 期限切れ欠損金: 法人税申告書 別表5-1 期首現在利益積立金額の合計額
債務免除益から青色欠損金を差し引き、それでも不足する場合は期限切れ欠損金を使用します。
注意が必要なのは、期限切れ欠損金を使用するには、清算時に会社に「残余財産がないこと」が前提となる点です。
このあたりは、税理士でも頭を捻るため、社長自身が期限切れ欠損金を用いた申告書を作成するのはリスクがあります。
したがって、これまで自分で申告していた社長であっても、解散の申告までは自身で行っても、清算の申告は税理士に依頼するのが賢明でしょう。
休眠会社が多い理由
会社を解散まで行ったものの、清算せずに休眠状態で放置している会社は少なくありません。
この理由は、「清算すると税金がかかる」と考えているからではないでしょうか。
実際に、清算時に残余財産がある場合や、赤字で残余財産がなくても社長借入金が残っている場合には税金がかかります。
しかし、上記の期限切れ欠損金を利用すれば、清算時に税金がかかることなく会社を畳むことが可能です。
おそらく、税理士が関与している場合でも、この一連の手続きが煩雑であるため、放置されているケースがあると考えられます。
また、税理士でなければ期限切れ欠損金の手続きは理解できないため、税理士から「税金がかかる」と言われた社長が、言われるがままに清算せずに休眠状態を続けているケースもあるでしょう。
合同会社は休眠しても抹消されない
前置きが長くなりましたが、最後にタイトルの質問について。
休眠状態で12年経過すると、最終的には法務局が職権で会社を抹消します。
この制度を利用して、わざわざ煩雑な清算の申告を行わない人も多いようです。
ただし、職権抹消されるのは株式会社です。
有限会社や合同会社は抹消されません。
安く設立できる合同会社も選択肢としては悪くありませんが、最終的に設立した会社がどうなるのかというシナリオも考慮に入れておくべきでしょう。
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