相続税・贈与税

暦年贈与廃止される?2023年からの生前贈与対策<令和5年度税制改正大綱対応>

yujiroyamamoto

)令和5年度税制改正大綱と娘

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暦年贈与廃止される?

先週、16日の金曜日、与党税制改正大綱が発表されました。

適用期間が延長されたもの、新たに加わった制度も含めて確認するところはそれなりにあります。

実際に法律が施行されるのは、2024年以降ですが、今から対策しておいたほうが良いものも。

今回、贈与税の改正については大きく分けて2つありました。

  • 暦年贈与
  • 相続時精算課税

そのなかで、今日は暦年贈与についてお伝えします。

贈与税については、ここ数年、「暦年贈与がなくなるでは?」と言われていましたが、今回の改正でもなくなりませんでした。

ご安心を!

暦年贈与廃止はいつから?2021年にできること<No 1302>

暦年贈与廃止リスク・2022年からできること<No 1304>

You Tubeにも動画をあげていますので、よろしければご覧ください。

)You Tube動画 暦年贈与廃止される?2023年からの生前贈与対策<令和5年度税制改正大綱対応>

2023年からの生前贈与対策<令和5年度税制改正大綱対応>

暦年贈与は、例えば、土地や建物のような不動産、現預金や株式のような金融資産をタダでもらったとき、もらった人にかかる税金です。

暦年贈与には、贈与税がかからない110万円の基礎控除があります。

110万以下であれば、無税で贈与することができ、110万を超えたら、超えた部分に対して贈与税がかかります。

ただし、相続開始(亡くなる)前3年以内に贈与した財産は、仮に、贈与税の申告をしていても、相続財産に加えて相続税を計算します。

これが生前贈与加算といわれる制度です。

相続税対策として、暦年贈与をしていても、3年以内に亡くなってしまうと効力は乏しく。

場合によっては効力ゼロとなります。

暦年贈与を利用して効果的に相続財産を減らすためには、早めに贈与して3年のラインを超えること。

その3年のラインが、改正で7年となりました。

今回、税制改正大綱の冒頭で、次のように書かれています。

高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することとなれば、その有効活用を通じた経済の活性化が期待される。

)令和5年度税制改正大綱 16頁

国としては、親や祖父母世代から、子や孫世代に資産を移転して、そこでお金を使ってもらうことで経済を廻して欲しいとの思惑があるのでしょう。

80歳以上の預貯金の保有率は15%(2019年)から21%(2030年)拡大する見通しですが、
30代は5.3%から4.6%へ、40代は12.3%から9.4%に減ると見込まれています。

)日本経済新聞 2022年12月17日 朝刊 10頁 参考データ

前回、令和4年の改正では、「今回は改正しないけど、次から少しずつ変えるよ」といったニュアンスがあったので、予定どおりとも言えます。

今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。
 あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家庭内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。

)令和4年度税制改正大綱 一部抜粋

暦年贈与が完全になくなって、悪評高い相続時精算課税で一緒になるという憶測もありましたが、
今回、それはありませんでした。

改正後の生前贈与加算は、5年か7年、場合によっては10年とも言われていましたが、5年と10年のあいだをとったのかもしれません。

「不断の見直しを行っていく」と強い姿勢を前フリで示しておいて、国民に対して耐性をつけておいたとも言えます。

で、3年から7年に変わるとどうなるのか?

相続開始が迫ってから贈与を始めても効力は乏しく。

国の思惑どおりとなりますが、贈与をするなら、「思い立ったが吉日」で、心もカラダも元気なうちに贈与しておくのが懸命でしょう。

このあたりは、あとで揉めないように、

  • 贈与税の申告をする
  • 贈与契約書をつくる
  • 公正証書遺言をつくる

申告と契約書はセットであったほうが良いでしょう。

贈与の事実があったことを対外的に示す証拠になります。

遺言は、「相続税はかからないからいらない」と考えがちですが、相続税の税金対策には不要でも、相続そのものの対策にはあったほうがいいでしょう。

遺言が本物であることを証明する公正証書遺言があれば、揉める割合は格段に減ります。

とはいえ、遺言が本物であることは証明されても、内容が正確があることを保証するものではありません。

このあたりは、税理士・司法書士に依頼するのが懸命でしょう。

今後、延長された4年に受けた贈与のうち、総額100万円までは、相続財産に加算されない、緩和措置はとられています。

思い立ったが吉日

令和5年度税制改正大綱のうち、暦年贈与に関する改正点についてお伝えしました。

今回の改正は、2024年1月1日以降に受けた贈与について適用されます。

これまで通り、110万円以内でコツコツ贈与するのも良し。

金融資産がそれなりにあるなら、あえて贈与税払って110万円超えて贈与するのも良し。

どちらにしても、「思い立ったが吉日」です。

心もカラダも元気なうちに、感謝されるうちに動いておきましょう。

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