相続税・贈与税

暦年贈与廃止リスク・2022年からできること<No 1304>

yujiroyamamoto

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暦年贈与がなくなる?

2022年度改正で、暦年贈与がなくなるのではないかと言われています。

これを受けて先日、2021年中にできる贈与対策についてお伝えしました。

暦年贈与廃止リスクに対して、2021年にできること<No 1302>

暦年贈与にするのか、相続時精算課税にするのか、はたまた複数年の抱き合わせか?

今回は、2022年以降を視野に入れてできることを検討してみました。

)YouTube動画 暦年贈与廃止リスク・2022年からできること

暦年贈与廃止リスク・2022年からできること

歴年贈与が廃止されるとどうなるのか?

贈与税と相続税が一体化され、贈与は相続時精算課税の一択となります。

110万円の基礎控除がなくなり、コツコツ贈与するメリットはなくなります。

では、具体的に、今後はどういった贈与をすれば高額な贈与税を避けられるのか検討してみます。

特例の検討

まずは特例が使えるかどうか検討します。

  1. 住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税
  2. 教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
  3. 結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

これらを優先的に使えないか検討します。

暦年贈与廃止リスクに対して、2021年にできること<No 1302>

特例が使えないならセオリー通り、暦年・精算課税と見ていきます。

暦年贈与

仮に、父親から3,000万円の贈与を受けるとします。

暦年贈与を利用し1年で全額受けた場合と2年と3年に分けた場合で試算します。

  • 1年 (3,000万ー110万)✕45%ー265万=贈与税 10,355,000円
  • 2年 (1,500万ー110万)✕40%ー190万=3,660,000円✕2年=贈与税 7,320,000円
  • 3年 (1,000万ー110万)✕30%ー90万=1,770,000円✕3年=贈与税 5,310,000円

1年だと1千万円超えですが、3年にわけると半分程度で済みます。

なぜ、これだけ違いがでるのかというと、

  1. 基礎控除110万が毎年使える
  2. 贈与額が低いほど、税率が下がる

からです。

110万円差し引くよりも、330万円差し引く方が低くなるのは当然です。

税率は超過累進税率といって、金額が多くなるほど税率が高くなる所得税と同じ方式が採用されています。

超過累進税率の節税対策は、単純に金額を分散させること。

複数人に分けるか、複数年に分けるか。

複数年にわけると上記の計算となり、複数人でも同じ結果となります。

相続時精算課税

暦年でコツコツ贈与できればいいですが、物入りですぐに資金が必要な場合もあるでしょう。

相続時精算課税なら2,500万円まで無税で贈与できます。

2,500万円を超える部分については一律20%の贈与税がかかります。

3,000万円を1年で贈与した場合と2年で贈与した場合を見てみます。

1年で贈与 (3,000万ー2,500万)✕20%=贈与税 1,000,000円

2年で贈与

  • 1年め  1,500万ー1,500万=贈与税 ゼロ
  • 2年め (1,500万ー1,000万)✕20%=贈与税 1,000,000円

結局、1年で贈与しても、2年で贈与しても税額はかわりません。

  1. 特別控除2,500万円は定額で増えない
  2. 税率は一律20%

といったところが理由です。

さらに、贈与から何年経過しても相続時に相続財産に加算されるので、節税対策とはなりません。

暦年贈与+相続時精算課税

3,000万円の贈与を仮に3年に分けたとしても500万以上の贈与税がかかります。

高額なので、そこそこの資産家でなければ率先して贈与とはならないでしょう。

ではするのか?

特例を優先的に検討・実行した上で、まずは暦年贈与を基礎控除110万円前後で贈与します。

110万円以下でもいいですし、110万年を超えあえて少額の贈与税を払うのもいいでしょう。

暦年贈与は年数(回数)を重ねるごとに基礎控除が増えていくので、ジワジワ節税対策が効いてきます。

そして、暦年贈与廃止となった場合、それでも贈与したいなら精算課税で贈与します。

仮に、トータル3,000万円を3年暦年贈与した後に、4年めで精算課税したとします。

  • 1年め 110万ー110万=贈与税 ゼロ
  • 2年め 110万ー110万=贈与税 ゼロ
  • 3年め 110万ー110万=贈与税 ゼロ
  • 4年め (3,000万ー330万ー2,500万)=170万 170万✕20%=340,000円

これなら、オール暦年・オール精算課税よりも贈与時の負担を減らすことができます。

とはいえ、精算課税した部分は相続税の対象となります。おぼえておきましょう。

基礎控除の恩恵

歴年贈与廃止の声が聞こえてきますが、実際に廃止までは、

  1. 特例の恩恵を受けること
  2. コツコツ暦年で贈与すること

で十分でしょう。

基礎控除の恩恵を受けた後、暦年廃止となったら精算課税に切り替えで十分かなと。

まだ、どうなるかわかりませんし、今後も注視していきます。

[aside type=”warning”] 2021年12月10日 令和4年度税制改正大綱が発表されました。

そのなかで、暦年贈与について言及されていますので、一部抜粋して掲載します。[/aside]

今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。
 あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家庭内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。

以上になります。

この文言から、今回は暦年贈与は廃止とはなりませんでしたが、次回以降、段階的に改正されていくようですね。

「不断の見直し」って言ってますしね。

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