不動産の生前贈与で失敗しないために知っておくべき5つのこと
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不動産の移転は贈与か相続か?
毎年この時期になると、相続税や贈与税のご相談が増えてきます。
その中でもよくあるのが、贈与と相続のどちらを選べばよいのかというご相談です。
特に不動産を持っている場合、親から子供、祖父母から孫といった形で、生前に贈与しておきたいという気持ちはわからないでもありません。
ただ、早く次の世代に資産を引き渡すことができるメリットはありますが、一方でいくつかのデメリットもあります。
今日はそのあたりについてお伝えしていきます。
不動産の生前贈与で失敗しないために知っておくべき5つのこと
不動産取得税がかかる
仮に贈与税がかからないとしても、不動産を贈与により取得した場合には不動産取得税がかかります。
不動産取得税は相続よりも高いです。
というのも、不動産取得税は相続による取得の場合はゼロですが、贈与の場合は土地も建物も4%かかります。
- 相続により取得 ゼロ
- 贈与により取得 4%
4%と聞くとそうでもなさそうに思いますが、仮に土地の評価が2000万円だとすると、2000万円に4%をかけると80万円になります。
これを聞いた途端に、「そんなにかかるのならやめておこう」とおっしゃる方は結構いらっしゃいます。
登録免許税がかかる
さらに登録免許税もかかります。
登録免許税は相続の場合0.4%のところ、贈与の場合はより高くなります。
- 相続により取得 0.4%
- 贈与により取得 2%
先ほどの2000万円の土地であれば、相続だと8万円の登録免許税で済むところ、贈与だと40万円かかります。
つまり、2000万円の土地を贈与したら、相続時精算課税を利用して無税で贈与できたとしても、不動産取得税と登録免許税を合わせて120万円税金がかかることになります。
これを聞いて、それでも実行する方がどれほどいらっしゃるのか?
相続時精算課税のデメリット
先ほど贈与税はかからないと言いましたが、通常の暦年贈与の場合は110万円の基礎控除を超えるともらう側に贈与税がかかります。
その点、相続時精算課税を利用すれば、1人あたり2500万円までは無税で贈与することができます。
ただし、精算課税にはデメリットもあります。
・一度適用すると撤回できない
・将来、相続財産に加算される
一度適用すると暦年贈与には戻れません。
また、贈与した財産は、相続時に相続財産に加算されます。
つまり、どれだけ年月が経っても、相続財産に加算されて課税されるということです。
結局、精算課税は相続税対策よりも、元気なうちに次の世代に資産をつなげられる相続対策です。
令和の改正で、相続時精算課税の2500万円の中でも110万円の基礎控除部分は相続財産に加算されないという流れになりましたが、それでも残りの大きな金額は、将来の相続財産に加算されます。
精算課税は、税金対策よりも人とのつながりである相続対策に利用したほうがいいでしょう。
小規模宅地等の特例の適用ができない
最も大きいのが、贈与により取得した土地については、小規模宅地等の特例の適用を受けることができない点です。
小規模宅地等の特例は、居住用不動産であれば80%減、つまり2割評価で済むという大きな特典です。
相続税がかかる方は、この特例を利用して相続税対策を行ってほしいのですが、贈与により土地を取得すると、この特例を受けられないため注意が必要です。
取得費加算がない
相続により取得した土地を相続開始から3年10か月以内に売却すると、相続税として支払った税金の一部を譲渡したときの譲渡所得の計算上の取得費に加算できるメリットがあります。
経費が多くなるため、譲渡による所得税を抑えることができます。
この取得費加算は相続による取得に限られ、贈与の場合には適用されません。
したがって、贈与による取得では譲渡所得税が高くなるというデメリットがあります。
相続税がかからない人はOK
ここまで、贈与による取得のデメリットをお伝えしてきましたが、将来的に相続税がかからない人であれば、小規模宅地等の特例や取得費加算は関係ありません。
そのため、不動産取得税や登録免許税を払ってでも、次の世代に資産を引き渡したいというのであれば、不動産の贈与を行っても問題はないでしょう。
税金対策よりも相続対策
不動産の生前贈与で失敗しないために知っておくべき5つのことについてお伝えしました。
「贈与」と聞くと、お金や金融資産を思い浮かべる方が多いと思います。
それらは早めに対応しておくことも大切ですが、不動産に関しては、相続による移転のほうが優遇制度がたくさんあります。
不動産については、贈与よりも相続によって引き渡すほうが賢明しょう。
不動産については、遺言書を書いておく、あるいは任意後見制度を利用しておくなど、相続対策していくのがよろしいかと思います。
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