同族経営で親が子にお金を渡すときの注意点。理由なきお金はもらわない・払わない

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理由なきお金はもらわない・払わない

雇われていたら、労働の対価として給料をもらいます。

会社を経営していたら職務執行の対価として役員報酬をもらい、フリーランスや個人事業者であればモノやサービス提供の見返りとして売上=お金をもらい、それが事業所得となります。

お金をもらうには、自分が何かしら提供するのは当然のこと。

これが同族経営になると、歪んだお金の受け渡しがあります。

世間一般でまかり通らないようなことが起こったときのリスクと対処法についてお伝えします。

同族経営で親が子にお金を渡すときの注意点

給料として渡す

同族経営で、親が子に給料を払う。

よくある光景ではありますが、まず、払った給料が税法上経費と認められるのかどうか?

事業会社であって、他の従業員さんと同じような働きをしていれば、概ね経費として認められます。

税法上だけでなく、戦力として換算できるので、問題はありません。

では、他の従業員がおらず、子だけが働いているとどうなのか?

売上を得るために営業活動をしたり、経理や事務、あるいは広報活動などを行っていれば、これも問題ありません。

これが、通常の事業会社とは異なり、不動産管理会社である場合はどうなのか?

マンションやアパートをいくつも所有していて、その管理にそれなりの時間と手間がかかるのでば、支払う経費の正当性はありますが。

会社勤めする子に、生活費の足しとして援助するつもりで給料を支払った場合は経費として認められません。

労働なき給料を支給しても、もらった人間を駄目にするだけです。

節税対策で得られる効果と子の人間形成を阻害するリスクを天秤にかければ答えは出てくるでしょう。

役員報酬として渡す

では、役員報酬として子に金銭を支払う場合はどうなのか?

給料は労働の対価であるのに対して、役員報酬は職務執行の対価として金銭をもらいます。

従業員と同じ働きをしていなくても、金銭をもらうことはできますが。

経営方針を立てたり、会社の中心となって組織を動かしているかどうか?

このあたり、「何をやってるかわからない」ようだと、税法上、支払った報酬が経費と認められないことがあります。

給料のケースと同じく、会社勤めの子に役員報酬として金銭を支給する場合も、経費として認められないだけでなく、子の金銭感覚を歪めてしまうリスクがあります。

贈与で渡す

扶養義務のある親が子のために支払う生活費や教育費は、贈与税の対象とはなりません。

とはいえ、常識の範囲内にとどまっていればの話なので、成人した子にまとまったお金をあげれば贈与税の対象となるリスクはあるでしょう。

その上で、国が定めた特例で贈与税がかからないケースがあります。

  • 住宅取得資金贈与
  • 教育資金一括贈与
  • 結婚・子育て資金一括贈与

これら以外で、扶養の範囲から外れた場合や特例に当たらない場合は贈与税がかかるリスクはあります。

また、将来、相続が起こると揉めるリスクがあることを念頭に置いておいたほうがいいでしょう。

かわいい子や孫にお金をあげたい気持ちはわからないわけではないですが、誰に何をいくらあげたのか、うやむやにしていると遺産分割で揉めます。

相続人同士でもらった額に凸凹があると遺産分割はまとまりません。

故に、

  • 贈与税の申告をする
  • 贈与契約書をつくる
  • 遺言書を書く
  • 特別受益を持ち戻す or 持ち戻さないを遺言書ではっきりさせておく

といったことは大事です。

生前にもらった人は特別受益として持戻されると自分の相続財産が少なくなるので持戻されたくありません。

もらってない人は、もらった人の分を持戻してもらわないと不公平が生じます。

相続のときには明らかになるので、年に一回家族で集まったときに、キチンと報告しておいたほうがいいでしょう。

お金をあげる

通常、親が子に生活費や教育費のために支給するお金は贈与には当たりません。

贈与に当たらないので、申告も契約書も必要ないですが、のちのち面倒になるリスクはあります。

相続人が一人であれば問題ありませんが、複数いれば、相続人間で不公平感が生じることもあるでしょう。

自分亡きあと、子供同士がこうしたことを話し合うことを想像してみましょう。

生前に何をやったのかは、申告の有無にかかわらず、特別受益として相続財産に加味することになります。

相続時に相続財産に影響させないのであれば、その旨を遺言書に書いておくこと。

子供同士で、話し合うのは酷な話です。

申告なし、契約書なし、理由もなくお金をもらうと人間駄目になることを念頭に置いておきましょう。

お金よりも教育や生き方を残すほうがその子にとって幸せではないでしょうか。

他人に同じことができるか?

同族経営で親が子にお金を渡したときの注意点についてお伝えしました。

結局、同じことを他人さんにもできるかどうかを考えたら話は早いでしょう。

他人さんにできないのなら、贈与や単なる小遣い。

理由なくお金を渡すと相続時の揉めるリスクとなること。

それ以上に、子を駄目してしまうことも考えておきましょう。

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