高齢者が赤字会社を保ち続けるリスク。会社をたたむタイミング

yujiroyamamoto

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高齢化で増える畳めない会社

税理士として、これまでさまざまな会社を見させてもらいました。

派手さはなくても堅実に目の前の仕事を積み重ね、少しずつ利益を蓄えている会社。

一方で、稼ぐ力はあるものの、管理能力や守る力が足りない会社もあります。

会社経営も様々ですが、税理士として携わっていると経営者の傾向が見えてきます。

今は少子化とともに高齢化社会となり、後継者がいないため、事業承継できず廃業される会社も多くあります。

こうした話は、皆さんもよく耳にするのではないでしょうか。

会社をすんなり畳むことができればいいですが、実際には借金があり、会社を潰したくても潰せない会社もあります。

さらに、高齢になると判断能力が低下します。

そうした社長を支えられる人が身近にいるかどうか?

その一番身近な存在は税理士かもしれません。

ただ、税理士の仕事は決算を組み、申告をすることが中心です。

その先の会社の清算まで考え、会社を整理し、その後の社長の生活まで見据えてサポートしている税理士がどれだけいるのか?

私自身も、会社を設立する場面には多く立ち会ってきましたが、会社を清算する場面に立ち会う機会はそれほど多くありませんでした。

しかし、昨今は身近なところでこうしたケースを見る機会があり、感じたことがあります。

今日は、そのあたりをお伝えします。

高齢者が赤字会社を保ち続けるリスク

理由

  • 経営・判断能力の衰え
  • 銀行借入金が返済できない
  • 清算できなくなる

経営・判断能力の衰え

高齢になっても会社を支えてくれる税理士が身近にいるかどうか?

税理士が離れてしまったり、身近に相談できる家族や親族がいないこともあります。

その結果、会社をたたみたいけどたためないケースが見受けられます。

そのとき、一番のリスクは経営者の判断能力が衰えてしまうことです。

60代は元気な方が多いですが、70代になると、日常生活は問題なくても、経営判断は難しくなることがあります。

特に会社を畳むには、税務だけでなく法務にも絡んできます。

新しい専門家とやり取りを進める必要があるため、高齢の社長ひとりで対応するのは難しいと感じることがあります。

今の70代は若々しい方も多いですが、個人的には60代のうちに、一度区切りを考えたほうが良いでしょう。

銀行借入金が返済できない

二つ目の理由は、銀行借入金を完済できないことです。

社会の商圏が変化し、利益がない業界が増えてきました。

利益がでなければ、赤字体質が続いて資金が枯渇します。

長年会社を支えてきた社長ほど、自社への思い入れが強く、個人の貯蓄を会社に入れて支えることもあります。

結果、決算書には社長借入金が多額に残っていることがあります。

赤字だから社長借入金を返してもらうことはできません。

さらに、銀行借入金があると、会社を清算できません。

そのため、代位弁済や債務引受といった方法を検討します。

こうした手続きは司法書士に依頼することになります。

70歳を迎えても銀行借入金が残っている場合や、ご両親が経営している会社に借金が残っている場合は、銀行借入金をどうしていくのか真剣に考えた方がよいでしょう。

清算できなくなる

社長借入金のように、社長個人が会社へ貸し付けたお金であれば、会社が返済できない場合でも債務免除という方法を取ることで、税負担を抑えながら会社を清算できる可能性があります。

しかし、銀行借入金が残っている限り、税負担なく会社を完全に整理することはできません。

そのため、会社を早めに清算するのであれば、70歳になる前までに、本人だけでなく家族や身近な方も状況をしっかり把握しておくことが大切です。

もちろん、顧問税理士が最後まで一緒に解決へ向けて取り組むことが望ましいでしょう。

しかし、解散した段階で顧問契約をやめてしまい、税理士の支援を受けられなくなり、本人がひとりで悩んでいるケースも少なくありません。

特に、社長借入金がある会社をそのまま清算しようとしたら多額の税金が発生します。

社長借入金を社長個人が債務免除したことにより債務免除益という利益が会社に発生するからです。

この債務免除益を、長年の赤字の蓄積である期限切れ欠損金を用いて税金がでないように申告するには、まとまった時間と税理士の協力なくしてできません。

改善策

  • 銀行借入金を完済できる目処はあるのか?
  • 資金繰り表は作っているか?

そのためにも、赤字会社の社長は60代のうちに、会社の資金繰りを日頃から把握しておくことが大切です。

試算表や決算書では、利益や税金は分かっても、資金繰りは改善されません。

資金繰りを改善するためには、資金繰り表やキャッシュフロー計算書を作成し、お金の流れを把握すること。

今の利益で会社を維持できるのか?

銀行借入金を完済できるのか?

税理士から資金繰りに関するアドバイスを受けられるのが理想です。

しかし、実際には資金繰り支援まで行っている税理士は多くありません。

資金繰り支援が税理士業務には含まれていないからです。

対応する場合でも、通常の顧問料とは別料金になることが多く、付加価値サービスとして提供されています。

追加費用を支払ってまで資金繰り支援を受けようと考える経営者は、まだ多くないのが現状です。

税理士は決算や申告だけのために存在しているのではなく、資金繰りについてももっと相談して欲しいと思っています。

顧問税理士が資金繰り支援を提供していないのであれば、資金繰り支援を行っている他の税理士やコンサルタントに相談する方法もあります。

こうした支援がまだ十分に認知されていないことも、赤字経営が長く続き、最終的に会社を清算できない社長がいる要因でしょう。

会社の最後は余力があるうちに

今日は、高齢者がひとりで赤字会社を持ち続けることのリスクについてお伝えしました。

会社を畳むことは簡単そうに思えても、実際はそう簡単ではありません。

銀行としても貸したお金を回収したいので、会社が返済できなければ、社長個人の資産まで対象として回収を進めるケースもあります。

そのため、非常に厳しい問題になります。

だからこそ、会社を畳むときは、ズルズルと先延ばしにするのではなく、資金繰りを常に確認しておくことが大切です。

会社を維持できるのか、どこかで会社を畳む判断をするのかを見極める必要があります。

まだ業績や資金繰りに余力があるうちに、将来を見据えて計画的に進めていくことが大切ではないでしょうか。

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