副業で税務署が税務調査を見送る判断基準

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副業でも税務調査は来る
今のご時世、業種によってはパソコン1台あれば独立開業できるようになりました。
パソコンだけでなく、ネットやそれにまつわるIDサービスなど、便利なサービスが増えています。
働きながらでも退職することなく、副業で事業を始めることが容易になりました。
実際、副業をされる方は増えていて、そういった方々の申告のお手伝いをする機会も増えています。
副業から本業を目指す方もいれば、お勤めをしながら給与をもらい、副業で収入を増やして、それを維持する方法を選択する方もいらっしゃいます。
その中で、税理士として、また税務署が注目している点の一つに、副業で生じた赤字を給与所得と損益通算し、源泉徴収された所得税の還付を受けるという手法。
本来、事業を始めたら利益を出して儲けて、お金を手元に残したいというのが独立開業する方の想いでしょう。
ところが、副業でわざと赤字を出し、その赤字を給与所得の黒字と損益通算させて還付を受ける。
そこに対して税務署は目を光らせています。
本当に頑張った結果として赤字なのであれば致し方ない部分もありますが、わざと赤字を作るようなやり方は、私個人としては推奨していません。
では、税務署が税務調査に入るきっかけとなるのはどのような点か、そのあたりについて今日はお伝えしていきます。
副業で税務署が税務調査を見送る判断基準
事業所得か雑所得か?
これまでも何度かお伝えしてきましたが、副業で生じた赤字を給与所得と損益通算できるのは、事業所得だけです。
雑所得では、副業で赤字が生じても給与所得と損益通算をすることはできません。
したがって、還付を受けることもできないのです。
故に、副業から生じた赤字で還付を受けようとする人は、事業所得で申告します。
では、事業所得と雑所得の違いは?
通常、副業の所得は何もしなければ雑所得となります。
事業所得として認められるには、どのような要件が必要になるのでしょうか。
- 反復して行われているか?
- 継続して行われているか?
- 独立しているか?
これら3つの要件を満たす必要があります。
税務記事:副業で給料所得を減らせるのか?還付を受けるときの注意点
とはいえ、これらは抽象的な表現なので、より具体的なケースで見ていきます。
毎年赤字のケース
毎年赤字だと、還付を目当てに副業をしていると見なされる可能性が高くなります。
本当に努力した結果だとしても、赤字が続いているにもかかわらず事業を継続している理由が、還付目的だと疑われても仕方がありません。
また、その還付を受けるために生活費を必要経費に計上していると見なされる可能性もあります。
このように赤字が2年、3年と続くと、税務調査が入るリスクは高まります。
週末だけ副業をするケース
本業の勤務が月曜日から金曜日まであり、週末のみを副業に充てている場合、時間的な拘束度合いからすると、主たる所得は給与所得であると判断されやすいでしょう。
その結果、副業は事業として成立しているとは見なされず、雑所得だと判断される可能性が高くなります。
とはいえ、平日の勤務後にお客さまとオンラインやメールでやり取りするケースは、事業所得として認められる可能性は残されています。
事務所や店舗を借りているかどうか
施設を借りるとなると、相応の費用が発生します。
お金を出して事務所や店舗を借りることは、事業に対する本気度を示す一因となります。
借入があるかどうか
副業をするにあたって、金融機関から融資を受けているかどうか。
パソコン一つで始められる副業があるとはいえ、銀行や日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受けているのであれば、本腰を入れて事業を行っていると認識されるでしょう。
還付を受けるためだけに、リスクを背負ってまで金融機関から大きな借入をする人は少ないでしょうから。
金融機関からの借入がある場合は、たとえ副業が赤字で還付を受けていたとしても、税務調査が入るリスクは比較的低くなると考えられます。
まとめ
まとめると、事務所や店舗を借りておらず、金融機関からの借入もない。
その上で、年間の売上が300万円未満であり、かつ2年、3年と連続で赤字を出し、給与所得との損益通算で還付を受けているようなケースは、税務署の目に留まりやすく、税務調査の対象となる可能性が高いでしょう。
また、税理士が関与せずに申告をしている場合も、調査の対象になりやすい傾向があります。
副業をされている方で、ご自身の事業における税務調査のリスクについてご心配な点がございましたら、単発・スポット相談を承っておりますので、よろしければご利用ください。
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