税金・会計

請求書の締め日、請求日、それとも入金日? 売上を計上するタイミング

yujiroyamamoto

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請求書の締め日、請求日、それとも入金日?

フリーランスとして独立し、ご自身で請求書を発行するようになると、売上をいつ計上すべきか迷うことがあるかもしれません。

現金商売であれば、売った日に計上すればいいので悩むことはありません。

しかし、掛け売り(後でもらう売掛金)の場合はどうでしょうか?

締め日なのか、請求書を出した日なのか、どの時点で売上計上すれば良いのか?

慣れていない方だと、掛け売りだろうが何だろうが、口座に振り込まれた日で売上計上されてるケースが見受けられます。

しかし、会計の世界では「発生主義」が原則です。

これは、お金をもらった時ではなく、実際に、サービスの提供や商品の引き渡しが行われた時点で売上を計上するというもの。

例えば、5月に行った仕事の請求書を「5月末締め、翌月6月末払い」で、6月10日に請求書を送付したとします。

この場合、どの時点で売上計上すべきなのか?

  • 締め日 5/31
  • 請求日 6/10

これ、会計ソフトに売上を6月10日の日付で入力すると、当然、6月の売上になります。

そうなると、同じ月の仕入れや経費との整合性が取れなくなるので、月ごとの正確な利益が見えなくなってしまいます。

では、売上はどの時点で計上すべきなのでしょうか?

売上を計上するタイミング

まずは、それぞれの言葉の意味から見ていきます。

締め日

締め日は、継続的な取引がある仕事に対して、いつまでの売上を請求するかを決める区切りとなる日付です。

「20日締め」や「月末締め」など。

例えば、5月20日締めの仕事であれば、4月21日から5月20日までに完了した仕事の合計金額を請求書に記載し、お客さまに送付します。

実際の入金は、翌月末や翌々月の10日になることが多いです。

この場合、会計ソフトに入力する日付は5月20日で問題ありません。

たとえ、請求書の送付が翌月の6月10日になったとしても。

6月10日で売上計上してしまうと6月の売上になってしまうため、締め日である5月20日をもって会計ソフトや帳簿に売上(売掛金)を計上します。

請求日

請求日とは、実際に請求書を発行した日を指します。

上記の例で言えば、5月20日締めの仕事を翌月6月10日に請求書として発行した場合、6月10日が請求日となります。

ただし、請求日をもって売上を計上することはありません。

あくまで売上は締め日で計上するのが原則です。

支払日

支払日とは、実際にお客さまから入金される日。

前述どおり、5月20日締めの請求であれば、翌月の6月30日や翌々月の7月10日などが実際の支払日になります。

掛け売りの場合、この支払日は売掛金が消滅する日であり、売上を計上する日ではありません。

期中現金主義の場合

小規模な事業者の場合、普段は現金主義で売上を計上しておき、期末(年末)に発生主義に切り替えるという方法も可能です。

この場合、例えば12月分の売上が翌年1月に入金されたとします。

現金主義では1月に入金された時点で売上を計上しますが、期末に発生主義に切り替える際は、この12月分の売上を前倒しで12月に売掛金/売上として計上します。

これにより、12月分と翌年1月分入金の売上が一時的に重複することになりますが、翌年1月に入金された金額は12月分の売掛金の消滅となり、売上として計上しません。

1月入金の売上が、新たな年度にて売上計上されませんが、前年12月分の売上なので問題ありません。

代わりに、新たな年度の12月にて、前年同様の経理をすれば、年単位で見れば、12ヶ月分の売上が適切に計上されることになります。

税務上の注意点

小規模な個人事業主の方で現金主義を採用し、かつ、前述のように年末に売掛金を計上している人は少数でしょう。

しかし、本来は発生主義に基づき、12月分の売上を売掛金として計上しなければなりません。

もし、税務調査が入った場合、これは売上の計上漏れとして修正申告を指摘される可能性があります。

税務調査が入る目安となる売上金額は、一般的に1,000万円前後でしょう。

このあたりから、現金主義から発生主義へ移行し、期末の売掛金を12月分の売上としてきちんと計上するようにしていく必要があります。

売掛金計上しないなら、届出書の提出が必要

期末に売掛金を計上することなく、現金主義を継続するためには、「現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書」を提出し、所得金額が300万円以下であることなどの要件を満たす必要があります。

この届出書を提出すれば、売掛金を計上する必要はありません。

しかし、実際にこの届出書を提出している方は、ほぼいません。

税務署からすれば、この件について大々的にアナウンスするよりも、税務調査が入った際に現金主義で処理している事業者に対して、発生主義に基づいて修正申告を求めることで課税ができるため、特に問題視していないという側面もあるかもしれません。

そのため、税理士に依頼していない方であれば、期末の売掛金を計上していないケースも多いでしょう。

しかし、本来は売掛金、そして12月分の売上をきちんと計上しなければならず、それを怠っていたり、届出書を提出していなかったりすると、税務調査が入った際に修正申告のリスクがあるということを認識しておく必要があります。

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