配偶者居住権で母親が自宅に住めないリスクを回避<No1434>
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均等にわけると母親が自宅に住めなくなる?
一昔前、相続税がかかるのは全体の4%。
亡くなったかた100人のうち4人にしか相続税はかかりませんでした。
これが、20215年の改正から8%に増えています。
とはいえ、8%。
相続税がかからない方が大半です。
かからないから、「何もしないでいい」ことはありません。
ある程度の知識を持った上で、事前に考えておくことは必要でしょう。
特に、自宅はあるけどお金が少ないというケース。
父親が亡くなった時点で、母親と子1人が相続人の場合。
均等に分けてしまうと、母親が自宅に住めなくなるといったことが起こります。
これを回避するためにつくられたのが「配偶者居住権」です。
配偶者居住権で母親が自宅に住めないリスクを回避
財産が自宅と現金の場合
まず、相続財産が自宅と現金だけの場合、どうしたことが起こるのか。
数字で見ていきます。
<相続財産>
- 自宅 2,000万円
- 現金 1,000万円
<相続人 母・子1人>
上の例だと、相続財産の総額は、
自宅2,000万円+現金1,000万円=3,000万円
法定相続分の2分の1ずつで相続し、かつ、母親が自宅を相続すると、
- 母 自宅2,000万円−現金500万円=1,500万円
- 子 現金1,000万円(相続財産)+現金500万円(母親から)=1,500万円
と現金が母親の手元に残らない可能性があります。
もちろん多くの方が、「自宅も現金も母親にあげる」と遺産分割できれば良いのですが。
子がいなくて、父親に先妻の子がいたり、父親の兄弟姉妹が相続人だと、法定相続分通りの遺産分割を主張してくるケースもあるでしょう。
事前に遺言書を書いておくのが一番ですが、遺言書がなくても、自宅を居住権と所有権にわけることによって、母親が父親の死後も自宅に住めることになります。
配偶者居住権と所有権
民法の改正により、2020年4月1日に配偶者居住権ができました。
この改正で、自宅に住む権利である「居住権」と持つ権利である「所有権」に分けられるようになりました。
父親亡きあと、母親は、権利うんぬんよりも、自宅に住めればいいわけです。
そこで登場するのが配偶者居住権の設定です。
さきほどの例で説明します。
<相続財産>
- 自宅 2,000万円
- 現金 1,000万円
<相続人 母・子1人>
遺産分割協議で、自宅を配偶者居住権と所有権に分けます。
仮に、配偶者居住権が1,000万円だとすると、所有権は、
自宅2,000万円ー配偶者居住権1,000万円=1,000万円
となります。
そうなると、法定相続分通り半分ずつに分けたとしても、
- 母 配偶者居住権1,000万円+現金500万円=1,500万円
- 子 所有権1,000万円+現金500万円=1,500万円
となります。
さきほどは、母親が子に500万円渡す必要がありましたが、配偶者居住権を設定することで、お金渡さずに済みますし、かつ、手元にお金が残ります。
配偶者居住権は相続税がかからない
父親の相続で設定した配偶者居住権は、次の母親の相続でも相続税がかかりません。
そうすると、配偶者居住権は一度も課税されずに親から子へ相続できることになります。
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