建物法人化における適正な売買価格とは?
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手間はかかるが、節税効果あり
賃貸建物を所有するオーナーが、法人化するケースにはいくつかパターンがあります。
前回は、
- 管理委託方式
- サブリース
- 建物所有方式
それぞれのメリットとデメリットについてお伝えしました。
このうち、手間がかかるが、節税効果が一番大きいのは建物所有方式です。
建物所有方式は、オーナー所有の建物を法人に売却します。
その売却価格をいくらに設定するのかについてお伝えします。
建物法人化における適正な売買価格とは?
いくらで売るか?
考えられる価格を挙げてみます。
- 実際の売買価格
- 簿価
- 固定資産税評価額
実際の売買価格がわかれば、その価格で売買するに越したことはありません。
逆に、売買価格があるのに、それよりもかけ離れた価格で売買したら、
- 高価買入
- 低額譲渡
であるとみなされて、余計な税金が法人とオーナー双方にかかってきます。
タワマン訴訟など、納税者が負けてる事案は総じて、相続後、すぐに売って売買価格が顕在化したケースです。
じゃ、売買価格が顕在化しなければ、どうやって時価=適正な売買価格を算定するのか?
時価とは?
上に挙げた3つの価格は、どれも時価です。
- 実際の売買価格
- 簿価
- 固定資産税評価額
実際の売買価格がわからなければ、簿価や固定資産税評価額をもとにして売買するのが一般的ですが、仮に売った場合、簿価とはかけ離れた高額で売買される建物については不動産鑑定士に依頼するのがセオリーでしょう。
不動産鑑定士に依頼する基準
仮に第三者に売った場合の価格と簿価が大きく異なると思われる場合は不動産鑑定士に依頼します。
鑑定士費用は、必要経費だと考えます。
逆に、古い物件で値がつかないようであれば、簿価や固定資産税評価額で売買しても問題ないでしょう。
このあたりは、将来、いらぬ課税されるリスクと鑑定士費用を天秤にかけて考えます。
鑑定士価格を採用したら、その価格で売買します。
簿価1円で売買した場合
鑑定士に依頼することなく、簿価1円で売買した場合はどうなるのか?
売買価格がなく、かつ、実際の価値も限りなくゼロに近いのであれば、低額譲渡のリスクは少ないでしょう。
等価交換なので、譲渡益は発生せず、オーナーに所得税はかかってきません。
簿価以上の金額で売買した場合
1円だとリスクに感じて、固定資産税評価額やそれらしい価格で売買することもあるでしょう。
低額譲渡や高価買入のリスクを避けるがうえの策ではあるのですが、その場合、低額譲渡や高価買入と指摘されるリスクは減りますが、売った価格と簿価の差額に譲渡所得がオーナーにかかってきます。
このあたりがややこしくて、堂々めぐりになるのですが、それもこれも、法人とオーナーが一体であるからで。
結局、簿価はゼロに近いに越したことはないですが、実際の価格と隔たりがあると、高価買入や低額譲渡と指摘されるリスクがあります。
簿価ゼロの売買に躊躇するなら、簿価ゼロにならないうち、かつ、法人側で資金繰りの目処がつく金額で売買するのが懸命でしょう。
最後は感情
第三者同士であれば生じない問題ですが、当事者間で有利にやろうとしているからどこかに問題が発生します。
税務署(国)からすると、何をやってもどこかで、税が課される網を張っているので、正直、上手いなと感じないこともないですが。
100満点の正解はないので、オーナーの状況や感情を大事にしながら進めていけばよろしいかと。
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