建物オーナーのための3つの法人化のメリットとデメリット

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事業の法人化は節税対策の1つ
個人で不動産を所有し、賃貸経営をしていると、所得税が軒並み高くなります。
新規物件で減価償却費があるうちはいいですが、減価償却費がなくなると、軒並み利益が出るようになります。
利益が出れば、当然、税金もかかってきます。
税金は、できることなら減らしたいもの。
そこで考えられることの1つが、事業の法人化でしょう。
建物オーナーのための3つの法人化のメリットとデメリット
法人化のメリットとデメリット
不動産を持っていたら、なんでもかんでも法人化すれば良いわけではありません。
メリット
- 税率が低くなる
- 赤字の繰越が長くなる
- 法人で払う給料が経費なる
- もらった給料に給与所得控除が適用
個人の最高税率は、50%を超えます。一方、法人にすると15%(年800万円の所得まで)
故に、個人の所得税の税率15%を、法人化の目安に考えることもあります。
赤字の繰越は、個人が3年に対して、法人は10年繰り越せますので、法人のほうが有利です。
個人ではとることができなかった給料は、法人だと会社から自分へ払うことができます。
払った給料(役員報酬)は、会社にとって経費なり、もらった自分にとっては給与所得になります。
会社で経費になったにもかかわらず、個人でも経費にあたる給与所得控除の適用があるので、節税効果はあると言えます。
デメリット
一方、法人化のデメリットは、大きなところで、
- 均等割がかかる
- 法人設立費用がかかる
の2つ。
均等割は、赤字でも発生する税金です。
市町村によって異なりますが、概ね、市民税5万+道府県民税2万の合わせて7万程度が毎年かかります。
加えて、法人をつくる費用が、合同会社なら13万程度、株式会社なら30万程度かかります。
ただし、自分でつくれば専門家への支払を減らすことができます。
法人化のメリットとデメリットを踏まえたうえで、建物オーナーが法人化する場合の3つの方法について見ていきます。
3つの法人化
建物オーナーが、事業を法人化する場合、以下の3つのケースがあります。
- 管理委託方式
- サブリース
- 建物所有方式
管理委託方式
1つ目が管理委託方式です。
管理委託方式は、法人に管理のみを依頼します。
メリットは、名義はオーナーのままなので、所有を移す必要がありません。
また、入居者と契約を結び直す必要がないので手間がかかりません。
オーナーが法人へ管理料を支払って所得を分散する手法です。
デメリットしては、支払う管理料は家賃の5%程度なので、節税効果があまりないこと。
昔は見ることがありましたが、今は、あまり見ることはありません。
サブリース
サブリースは、一括賃貸や一括借上げとも言われています。
法人が、入居者とオーナーのあいだに入って、オーナーの物件を一括で借り上げて、それを入居者に貸します。
メリットは、建物名義はオーナーのままなので、所有を移すコストがかからないこと。
法人がオーナーに支払う賃料は、満室状態の90%〜80%あたりが相場なので、20%程度の収入を分散できることになります。
節税効果は、管理委託方式が「小」だとすれば、サブリースは「中」くらいと言えます。
一方、サブリースのデメリットは、貸主がオーナーから法人に移るので、入居者との契約変更手続きが必要になります。
巷の、積水ハウスやレオパレスなどが、ここでの法人の役割を果たすことになります。
法人を自分でつくってサブリースする手法もありますが、ハウスメーカーとの契約が一般的でしょう。
建物所有方式
上記2つは、建物の名義はオーナーのままであったのに対して、建物所有方式は、所有権をオーナーから法人に移転します。
移転の方法は次の3つ
- 贈与
- 売却
- 現物出資
贈与だと、贈与税がかかります。
超富裕層でない限り、贈与税は相続税より高額になる傾向がありますし、不動産取得税や登録免許税も高いので、売却が一般的です。
入居者が、つくった法人に家賃を支払い、法人はオーナーに敷地の地代を支払います。
これまでオーナーが一手に受けてきた所得を法人と個人に分散することで節税対策がはかれます。
建物所有方式のメリットは、最初に挙げた法人化のメリットをすべて享受できること。
- 税率が低くなる
- 赤字の繰越が長くなる
- 法人で払う給料が経費なる
- もらった給料に給与所得控除が適用
加えて、法人化した建物は、相続対象物件から外れるので、事業承継しやすくなります。
ただし、いいことばかりではありません。
建物所有方式を選ぶのであれば、以下のデメリットも把握しておきましょう。
- 建物の所有を移すコストがかかる
- 入居者との契約変更手続き要
- 消費税がかかる
- 権利金の認定課税のリスク
建物を売却でオーナーから法人へ移すとなると、建物買取の原資が必要なります。
また、建物の売買価格の設定を誤ると、オーナーと法人に余分な税金がかかることがあります。
このあたりを話すとなると長くなるので、次回は、建物所有方式のデメリットとその対策についてお伝えいたします。
節税だけで考えない
建物オーナーが法人化するときの3つの選択肢についてお伝えしました。
3つ挙げましたが、今は、サブリースと建物所有方式のほぼ二択でしょう。
個人的には、居住用物件で入居者の数が多ければサブリース、倉庫など借り主が単独あるいは入居者が少ないのであれば建物所有方式が懸命だと判断します。
ただ、節税面だけでなく、借入を起こして物件を立てた場合、将来的なキャッシュフローが成り立つのかどうかは本当に大事なところ。
ハウスメーカーや銀行は、そのあたりのリスクについてあまり話してくれません。
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