副業で会社をつくった場合の給料のとりかた<No 1354>
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会社をつくると「決まりごと」が多くなる
近頃は、勤めていても副業ができる会社が増えています。
平日は勤めで、週末に起業したり。
午前中は勤めで、午後から起業したり。
勤めでいただくのが給料であれば、副業でもらうのは雑所得か事業所得か。
副業を会社にしていれば会社の申告が必要ですし、会社からもらう給料は給与所得になります。
ここらあたりは、一通り調べてわからなければプロにおまかせするほうが無難でしょう。
会社をつくると個人に比べて決まりごとが増えるので考えることが多くなります。
会社をつくった場合の給料もその一つです。
副業で会社をつくった場合の給料のとりかた
会社にすると給料がとれる
個人事業の場合、給料はとれません。
山本商店(事業)から山本祐次良(個人)へ給料を払うと、自分から自分へお金を払っていることになります。
同じ人だから、出たお金が戻ってくるだけです。
一方、山本商店を会社にすると、給料がとれます。
会社は「法人」と言いますよね。
法人という文字のなかには「人」があるので、個人とは別の人格があるという解釈なのです。
これにより、払った給料は会社の経費として認められ、もらった給料は個人の給与所得になります。
役員報酬には縛りが多い
会社法が改正されてから、自分ひとりで会社がつくられるようになりました。
出資者は自分ひとりで、役員も自分ひとり。
会社からいただく給料は、役員報酬になります。
いただく側だと、給料も役員報酬も変わりはないのですが、払う会社側の取り扱いは大きく異なります。
役員報酬には縛りが多いのです。
役員報酬は3つある
平成18年の会社法改正以前は、事業年度の中途で利益が出たら、役員の報酬を増やして利益を少なくすることが可能でした。
こうしたことが利益調整につながることから、会社法の改正を受けて税法では、中途で役員報酬を増やしても、増えた分は経費として認めないこととされたのです。
以降、役員報酬は、
- 定期同額給与
- 事前確定届出給与
- 業績連動給与
の3つ分かれるようになりました。
前述の毎月定額を支給する報酬は、定期同額給与にあたります。
定額同額給与はその名の通り、毎月同じ金額を支給しなければいけません。
それ以上でもなく、それ以下でもなく。
仮に、決めた額より多く支給すると、上乗せ部分は経費にはなりません。
逆に少ない額に変更すると、事業年度を通じてずっと少ない額で支給したこととされ、当初多く払った部分は経費から除外されます。
事前確定届出給与は、従来の賞与にあたります。
改正以前、役員に対する賞与はすべて経費にはなりませんでした。
改正後は事前に決めている賞与の額を、期日通りに支給した場合のみ経費にできるようになりました。
とはいえ、これから始まる事業年度において、賞与を払えるほど利益がでるかどうかはわかりません。
利用するのであれば、ある程度の規模の会社で、確実に利益が見込まれるようなケースに限るでしょう。
最後の業績連動給与は、非同族会社がその年度の業績に応じて役員に支給する賞与です。
副業でつくったひとり社長の会社だと該当しません。
金額を変えるタイミング
定期同額給与の額は、特別なことがない限り、中途で変えることはできません。
変更できるのは、期首から3ヶ月以内と決められています。
3月31日決算の会社であれば、4月1日から6月30日までのあいだです。
- 3月31日 決算
- 4月25日 決算確定日(株主総会)
- 翌5月から変更
といったかたちになります。
決算確定日が5月になれば、翌6月から。
決算確定月から変更できるような記述もありますが、翌月からのほうが無難でしょう。
変更事由が生じたとき
とはいえ、会社の根幹を揺るがすような事態が生じたときは、中途でも変更することができます。
- 役員が事故や病気で入院した
- 地位が変わった
- 不祥事を起こした
副業のひとりの会社だと、このなかだと入院くらいでしょうか。
臨時改定事由と呼ばれる特殊なケースのみ認められるので、単なる業績の悪化は認められません。
いくらにするか?
副業でつくった会社の報酬をいくらに設定するか?
年間の売上と経費を見積もります。
- 売上 100万円
- 経費 20万円
この場合、差し引き80万円の利益がでるので、その範囲内での年間支給額を月数で按分します。
80万円を12で割ったら66,666円。
切りよく6万だと少しの黒字で法人税はほとんどかかりません。
とはいえ、所得税の確定申告で、本業の給料と副業の役員報酬を合算するので、あまり給料の額を多くすると所得税が高くなるので法人税とのバランスを考えましょう。
お金がない場合はどうする?
役員報酬を月額20万円にしたものの、資金繰りがショートして月末までに払えないときはどうするか?
近いうちに払われる見込みがあれば経費に入れても問題ありません。
問題になるのは、未払いで捻出した資金を社員や役員への賞与に充てたりすると、事前確定届出給与の制度に触れてアウトになる可能性があります。
本当に払えないのであればいいけれど、変に小細工すると駄目でしょう。
この場合、
借方 役員報酬 200,000 貸方 未払金 200,000
といったかたちでしっかり帳面に付けておきましょう。
期末に未払がまだ残っていれば、内訳書にもきちんと記載します。
未来予想はむずかしい
事業が当初の予想通りにいくことは稀でしょう。
その都度、軌道修正していくものです。
役員報酬は、中途で変えるとペナルティーがありますが、絶対に変えられないわけではありません。
- 臨時改定事由に該当しないか検討する
- 未払金経理をする
- 増税覚悟で変更する
といったことは可能です。
最初から大風呂敷を引くよりも、控えめな数字で見積もって、予想以上に利益が出れば、税金を支払った上でお金を会社に残すのも一つの考え方でしょう。
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