人を雇うかどうかの判断基準。労働分配率の適正値はいくら?
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人を雇うかどうかの判断基準
独立してひとりでやっていて、売上が上がり、それなりの規模の仕事になると、「お金はあるけど時間がない」といった状態になることもあるでしょう。
ここで、自分一人でできる範囲に踏みとどまるか、あるいは、もうイチ段階引き上げていくのか?
後者であれば、人を雇うか外注さんにお願いすることになります。
人を雇った場合、実際にやっていけるのかどうか?
その際の指標となるが人件費割合、なかでも、労働配分率は特に注意してチェックしています。
労働分配率の適正値はいくら?
労働分配率は、粗利益に対する人件費の割合を表しています。
売上に対する人件費割合だと、そのあいだに変動費があるので、適正な判断材料とはなりにくいもの。
変動費は、売上の増減に応じて変わる経費なので、この2つを除外したあとの粗利益を基準にすることで、前月や前年といった過去の数字と比較することができます。
私の場合、労働分配率の適正値は、業種にもよりますが、40%から60%と捉えています。
60%だとやや高い
サービス業など人が必要不可欠な業態だと、人件費は比較的高くなる傾向にあります。
労働分配率でいうと6割近くになることも。
労働分配率としては、やや高い数値でありますが、現場は人によって動いていますので、人の力を頼らざるを得ないというところでしょう。
ただ、人がいないと成り立たない業種であっても、黒字でないのであれば、ある程度の改善は必要でしょう。
この場合、労働分配率を改善するのであれば、一気に50%を目指すというのではなく、前年や前年同月と比較しながら、数パーセントずつ、徐々に改善していくのが現実的でしょう。
大事なことは、毎月比較すること。
比較することで、労働分配率だけが問題なのか、売上や変動費、あるいは別の固定費に問題があるのかが見えてきます。
50%でも安心しない
人件費割合が50%だと多くもなく、少なくともなくといったところでしょうか。
業種にもよりますが、飲食業やサービス業といった人に頼らないといけない業態で50%だと、概ね問題ないでしょう。
ただ、50%台で利益が出ていない、あるいは、資金繰りがうまくいっていないのであれば、人件費を見直す必要があります。
その場合にどこを見直すのか?
同じ人件費でも、人を雇って給料で払うのと、外注にお願いするかでも変わってきます。
「外注は割高、自社でやったほうが安い」という考えかたもあります。
私自身も、かつてはそう感じていたのですが、実際のところはケースバイケースです。
いくら安い人材を雇っていても、仕事がなくて遊んでいる状態(売上に結びつかない動きが日常化)が多いと、必要なときだけ外注さんにお願いするほうが安くすみます。
いずれにしても、業態にかかわらず、望む利益が出ていないのであれば、テコ入れは必要でしょう。
40%は、働く環境に目を向ける
人に頼らないでやれる、現場を持たない仕事であれば、労働分配率が40%台ということもあり得ます
一方、人に頼る業態で40%だと低い部類に入ります。
ファミレスの配膳ロボットや自動精算機といった抜本的な業務改善をしたうえでの数値であれば問題ないですが。
そうでなく、これまでと同じ環境で、単に相場よりも安く抑えているのであれば、賃金に対する不満が噴出するリスクがあります。
そうなると、社内人材であれば離職率が高まりますし、外注さんだと離れていくリスクが生じます。
故に、40%台までくると、労働分配率としては、それなりの合格点ですから、それ以上に下げるのを目指すのではなく、働きやすい環境づくりを作ることにチカラを注ぎます。
そのうえで、利益を改善するのであれば別の数値に目を配るほうがいいでしょう。
- 売上
- 粗利益
- 固定費(人件費以外)
目を向けるところはたくさんあります。
4割台でも安心しない
労働分配率の適正値について考えてみました。
業種によるので一概には言えませんが、労働分配率が6割を上回ると利益が出にくくなり、4割台になると働く環境の悪化が懸念されます。
また、4割台でも利益が出ていない場合は、売上構造や他の要素に問題がある可能性が高いです。
そのため、全体を俯瞰して見直しを行う機会は定期的に持ちましょう。
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