任意後見契約

親の老いを感じたら遺言の前にやっておくべき2つの契約<No 1372>

yujiroyamamoto

)任意後見契約の公正証書謄本

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高齢リスクは死んだときだけじゃない

2021年12月の今月、税制改正大綱が発表されます。

以前から贈与税の歴年贈与がなくなるのではないかと言われており、今回の改正にてその内容が明らかになるでしょう。

贈与を考えたのなら、やっておきたいことが3つあります。

一つは、公正証書遺言です。

自分で書く自筆証書遺言に対し、公正証書遺言は公証役場にて2名の証人と共に公証人の前で、
事前に作成した文章を読み上げてその場で押印する遺言です。

ここで作成された公正証書は、その後、公証人の手で法務局へ引き継がれますので、
公的に認められた文書となります。
(遺言の内容自体が、法律上、認められるわけではありません)

公正証書遺言は、残された遺族にとって安心できる手続きです。

とはいえ、遺言は、故人の死後に効力が発生します。

高齢になったときのリスクは死後だけではありません。

お亡くなりになる前にできることを2つお伝えします。

親の老いを感じたら遺言の前にやっておくべき2つの契約

任意後見契約

死ぬ寸前までずっと元気でいられればいいですが、高齢になるとそうもいかないこともあるでしょう。

一つは認知症です。

生きていても、認知症を患ってしまうと、

  • 本人名義の不動産が売れない
  • 役所や金融機関で手続きができない
  • 契約手続きができない

といったことになります。

これらの手続きを進めるには、後見制度開始の審判を家庭裁判所へ申し立てる必要があります。

成年後見制度には、

  • 法定後見
  • 任意後見

の2つがあります。

前者は、前述の通り、認知症が発生してから行うことになります。

家庭裁判所は、事前に登録された弁護士や司法書士などを後見人として指名します。

法定後見人の役割は、不利益が及ばないよう被後見人(本人)を守ること。

一見、良さそうであるのですが、法定後見人が設定されてしまうと、

  • 報酬が発生する
  • 相続対策ができなくなる

といったデメリットも生じます。

なによりも、家族に寄り添ってくれる法定後見人であればいいですが、そうでない後見人がいるのも実情です。

そうしたときは、家族の意向が受け入れてもらえないことも。

こうした状況を回避するには、任意後見契約があります。

任意後見契約は、認知症が発生する前に、本人の意思で後見人を指定することができます。

裁判所が指定する後見人ではなく、家族や親しい身内、あるいは懇意にしている弁護士・司法書士などの専門家でも良いです。

自分の両親が高齢になったら、子供世代の方からこうした制度があることを知らせてあげましょう。

手続きは、

  • 最寄りの公証役場へ問い合わせる
  • 公証役場で公証人を決める
  • 公証人に事情を話す
  • 必要なものを聞く
  • 契約の日時を決める
  • 必要な書類を集める
  • 事前に公証人にFAXしておく
  • 契約日に、成年被後見人(親)は成年後見人(子)と共に公証役場へ

といった流れになります。

必要な書類などは、こちらの記事に書いています。

公証役場にて初めての任意後見契約。親が認知症になる前にできること<No 898>

公証役場で作成された公正証書は、

  • 原本は公証役場にて保管
  • 正本(原本と同じ効力があるもの)は成年被後見人または成年後見人が保管
  • 謄本(原本の複写)も成年被後見人または成年後見人が保管

私の場合、親が正本を、私が謄本を保管しています。

その後、公証人が法務局への登記依頼を行います。

登記は、2週間ほどで完了し、登記事項証明書(登記簿謄本)には、任意後見契約が締結された旨が記載されます。

認知症を患う前に任意後見契約をしておけば、裁判所から指定された弁護士や司法書士の方とやりとりすることはありません。

子や親しい親族が、任意後見人として直接裁判所とやり取りすることができるようになります。

同じ公正証書でも、遺言は専門家の司法書士に作成していもらいますが、任意後見契約だと専門家に頼まずとも当人たちだけで公証人と完結することができます。

私が父親と後見契約をしたときは、公証役場へ事前に自分ひとりで行って必要なものを聞き、契約日までの段取りを済ませてきました。

その後、父親には、必要なものを用意してもらい、契約日当日に公証役場で待ち合わせして契約に臨みました。

高齢の親に任せるよりも、子が主になって進めるほうが速いでしょう。

もちろん、親世代が元気であれば、親が主になって子や親族に協力してもらうことも。

ここまで任意後見契約についてお伝えしてきましたが、後見契約は、認知症が発生したあとでなければ始まりません。

とはいえ、認知症は発生しなくても、高齢になるとカラダが不自由になることは考えられます。

そうしたときに、子や親しい身内が代わりになって手続きできる制度があります。

委任契約

委任契約は、認知症が発生する前でも効力が生じる契約です。

委任契約を締結することによって、認知症はないけれども親が老いてきて自由に行動できないとき、代わりに役所や金融機関へ行き手続きを行うことができるようになります。

委任契約は、任意後見契約と同時にすることができるので、公正証書遺言と合わせれば、現在から未来まで網羅されることに。

任意後見契約と同じく登記されるので、契約後、法務局で登記簿謄本をとれば、証明書として利用することができます。

互いに思いを伝える

2019年12月、ちょうど2年前に、父親とは委任契約と後見契約を、母親とは後見契約を済ませています。

親が元気なうちに動けたことで、自分も親も互いに安心感が持たれます。

法定後見だと、認知症が発生してからなので、親は何も感じないでしょう。

遺言もそうですが、口でかわしておくのではなく、公正証書にしておくことで当事者たちに思いを伝えることができます。

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