消費税2割特例が3割に?控除80%が70%に?2026年税制改正大綱与党案
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消費税インボイスの見直し
来年の税制改正大綱の与党案が、12月16日に一部アナウンスされました。
中でも気になったのが、消費税のインボイス関連の見直しです。
消費税のインボイス関係については、2割特例が3割になり、控除が80%から70%になったりといった内容が検討されています。
事業を行っていて、消費税がかかっている方にとっては気になる項目がいくつかありますので、そのあたりについてお伝えします。
2026年税制改正大綱与党案
これまでの流れ
インボイス制度前は、売上1,000万円未満の人は消費税を納める必要がありませんでした。
ただ、インボイスの登録申請により消費税の課税事業者になった人については、本来納めるべき消費税の額よりも低い金額で済む「2割特例」が制度化されました。
本来は、売上にかかる消費税から仕入れや経費にかかる消費税を差し引いた残りの預かり消費税を国に納めます。
これが2割特例になると、仕入れや経費にかかる消費税は一切考慮せず、売上にかかる消費税額の2割だけを国に納めればよい、という制度でした。
ただ、この2割特例は期間限定の制度であり、2026年(令和8年)9月30日を含む課税期間までとされています。
個人事業主であれば、2026年(令和8年)分の確定申告まで2割特例で計算することができます。
法人の場合は、2027年(令和9年)8月決算までの事業年度が対象となります。
今回、この期間が延長される方向で検討されています。
2026年度税制改正大綱与党案
2割から3割へ
本来、2026年で終了予定であった2割特例が、さらに2年間延長される予定となっています。
今回は期間を延ばす代わりに、2割ではなく3割を納める形に変更する、という内容です。
仮に、税抜売上1,000万円の場合、税込売上は1,100万円となり、消費税は100万円となります。
これまでであれば、その100万円の2割である20万円を納めていましたが、制度改正後は3割の30万円を納めることになります。
なお、この2割から3割への移行については、個人事業主に限定される予定であり、法人は対象外とされています。
80%から70%へ
先ほどの2割・3割は、納める消費税の金額についての話です。
次に、2割特例を使わず、原則課税で消費税を計算している事業者向けの制度改正案です。
仕入れや経費に含まれる消費税について、インボイス登録事業者への支払いであれば、100%を仕入税額控除として差し引くことができます。
一方、インボイスのない請求書の場合は、段階的に控除割合が制限されています。
現在は80%で、令和8年まで80%、令和11年まで50%とされ、その後はゼロになる予定でした。
これにより、原則課税を適用している事業者の消費税負担が増えることとなる予定でした。
今回の与党案では、この点も緩和される見込みです。
2026年10月からは70%、2028年10月からは50%、2030年10月からは30%とする案が出されています。
- 現行 26/10月〜28/9月 50%、28/10月〜29/9月 50%
- 改正案 26/10月〜28/9月 70%、28/10月〜30/9月 50%、30/10月〜31/9月 30%
特例の終了時期は2031年9月末までとされており、当初予定の2029年9月末から2年間延長される計画です。
原則課税を適用している事業者にとっては、若干の税負担軽減のメリットはあるものの、引き続き経理の手間はかかるため、プラスマイナスゼロと感じる方もいるかもしれません。
ただ、2割特例については単純に延長される形となり、本来であれば2割特例終了後すぐに100%納めなければならなかったところを、2年間は3割で済むことになります。
インボイスの登録申請により消費税の課税事業者になった方にとっては、税負担が軽減されるという点で一定のメリットはあると考えられます。
納める消費税が減る
今回は、消費税の2割特例が3割になる可能性が検討されている、2026年政府税制改正大綱の与党案についてお伝えしました。
2割特例は、インボイスの登録申請により消費税の課税事業者となった方のみが対象の特例です。
一方、80%や70%といった仕入税額控除の特例は、原則課税を適用している消費税課税事業者向けの配慮となっています。
そのため、両方同時に該当する方はいません。
いずれにしても、事業者にとっての税負担が軽減される改正なので、法案がこのまま通る可能性は高いでしょう。
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