現金払いの給料・外注費は経費になるのか?経費になるための条件

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現金払いの疑問
近年、キャッシュレス決済が普及し、支払いの多くは現金以外で行われるようになりました。
昔からある銀行引き落としや振り込みもキャッシュレスの一種です。
しかし、帳簿を拝見すると、まだまだ現金払いをされている方はいらっしゃいます。
昔ながらの現金商売であれば理解できます。
しかし、ほとんどの取引が銀行間で行われているにもかかわらず、給料や外注費だけを現金で支払うケースはどうしてなのか?
このような場合、本当に支払われているのかという疑問や、経費として認められるかどうかのリスクが生じます。
給料や外注費の現金払いは経費として認められないのか、認められるとしたら何が必要なのか考えてみました。
現金払いの給料・外注費は経費になるのか?
現金払いのリスク
最大のリスクは、実際に支払ったかどうかの証明が難しいこと。
振込であれば、銀行の通帳に記帳され、証拠がしっかりと残ります。
相手先の情報が表示されるため、これを操作することはほぼ不可能です。
したがって、振込であれば支払いそのものに疑念が生じることはほぼありません。
(その支払が経費として適正かどうかは、また別の話です)
一方、現金払いの場合、領収書や請求書、そして帳簿がなければ証明が困難です。
これらすべてが揃っていることが大事で、どれか一つがあれば良いというわけではありません。
現金払いの場合、最低限、領収書を保管し、帳簿をきちんとつけておく必要があり、請求書があれば更に良し。
その上で、以下の事項も確実にしておきます。
給料として経費になるには?
- 帳簿をつけていること
- 給与台帳をつけていること
- 源泉所得税を天引きしていること
まず、帳簿をつけていることは大前提です。
紙の帳簿であれ、会計ソフトであれ、なんでも構いません。
次に、給与台帳をつけているかどうかが重要になります。
給与明細はあくまで相手に渡す資料であり、その元となる計算は給与台帳に記載します。
給与台帳をきちんと備え付けていれば、事業者が従業員を雇用し、適切に給料を計算しているという認識が対外的に示されます。
また、パートやアルバイトへの給料支払いの場合、月々の金額によっては源泉所得税を天引きしていないケースもあります。
しかし、源泉所得税の計算を適切に行っているかどうかも、給料が経費になるかどうかとは別の問題として重要です。
源泉所得税の計算については、別の記事で解説しています。
人を雇ったときの給与計算。源泉所得税がゼロになる要件はおさえてますか?
外注費として経費になるには?
- 外注先から請求書をもらっていること
相手が一人親方という認識であっても、こちらが支払い明細を作成して渡している場合、独立した事業者とはみなされないリスクがあります。
- 外注として独立した事業者であるならば、自身で請求書を作成して渡すこと
外注の場合、給与台帳のようなものはありません。
そのため、支払った外注先が作成した請求書をきちんと受け取っているかどうかが重要です。
会社組織、あるいは個人であってもきちんと経理を行っている事業者であれば、バックオフィス業務を適切に処理しています。
外注費として経費にする場合、特に消費税の課税仕入(経費)とするのであれば、請求書をきちんと受け取ることが不可欠です。
支払う側が支払い明細のようなものを作成しているケースでは、ほぼ雇用関係と同じとみなされ、外注として対外的に認められるのは難しいでしょう。
外注費として経費に認められるには、あくまで取引相手である事業者から請求書を作成してもらう必要があります。
手書きの簡素なものであったりすると、相手が事業者として事業を行っていないと判断され、自社の社員とみなされるリスクもあります。
そのため、外注先がどの程度しっかり経理や申告を行っているかという点も重要になります。
そして、外注先が帳簿をつけ、決算を組み、確定申告まで行っていないケースは、外注費として認められないリスクが高いため、給与としてこちら側が計算し、年末調整まで行う方が適切でしょう。
まとめ
今回は、現金払いの給料や外注費が経費になるのかどうかについてお伝えしました。
銀行振込だけでなくキャッシュレス決済が普及した今、あえて現金払いにするのはリスクが生じます。
本当に支払われているのか、単に帳簿上のやり取りではないか、と疑念を抱かれやすくなります。
「火のないところに煙は立たない」
疑念を持たれないようにするのであれば、振り込みにすることをおすすめします。
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