独立・開業

法人設立1年目の決算書(貸借対照表)を自分でつくるときの注意点

yujiroyamamoto

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自分で貸借対照表を作ることができるのか?

個人事業から法人成りをした場合、個人事業のときと同じように決算を組んで確定申告をしなければなりません。

ただ、法人税の申告は個人の申告とは少し違います。

決算書を作るところまでは一緒ですが、法人では損益計算書を作るだけでなく、貸借対照表を必ず作成し、添付して提出しなければなりません。

個人のときから貸借対照表を作っていた人であれば問題ないでしょう。

それでも、法人となると、より厳密に作成しなければなりません。

個人であれば「事業主貸」や「事業主借」といった勘定があり、プライベートの取引が混じっていても整理できましたが、法人ではそのような勘定はありません。

では、法人設立1年目の方が税理士に頼らず、自分で貸借対照表を作ることができるのか?

法人設立1年目の決算書(貸借対照表)を自分でつくるときの注意点

自分で申告はリスクあり?

税理士の立場からすれば、法人税の申告書は税理士に依頼してほしいところですが、独立1年目で資金繰り的に厳しい方もおられるでしょう。

そうした場合は、自分で行うのも一つの方法です。

税理士のチェックが入らないため、多少のリスクはありますが、独立1年目で小規模な場合は税務調査が入る確率は低いでしょう。

規模が小さいうちは自分で行い、事業が大きくなれば税理士に依頼するというやり方でもよいでしょう。

現金残高は黒字にすべし

  • 社長借入金で合わせる
  • 社長貸付金は会社に返す

個人事業時代は現金残高をきちんと合わせていなかった方も多いでしょう。

プライベートと事業のお金が混ざっていることがよくあります。

しかし法人では、プライベートと事業はきっちり分けなければなりません。

とはいえ、店舗がありレジがあれば分けやすいですが、そうでない場合は難しいこともあります。

現金残高が赤字になっている場合、まずは黒字にすること。

現金残高がマイナスということは、事業資金だけでは回らず、プライベートからお金を出している可能性があります。

そのため、社長が会社にお金を貸したという形にします。

仕訳でいうと、

  • 借方:現金 / 貸方:社長借入金

 とすれば、現金残高が黒字になります。

逆に、現金残高が本来あるであろう残高より高額になっている場合は、会社から経費以外の目的でお金を引き出している可能性があります。

この場合、会社にとっては「社長貸付金」となります。

借方:社長貸付金 / 貸方:現金

この仕訳を追加することで現金が減って、代わりに会社が社長に貸しているお金が発生します。

貸付金は「会社のお金を私的に利用している」と見なされ、税務署や銀行の印象も良くありません。

貸付金が発生した場合は、すぐに個人の資金から会社に返済して消すようにしましょう。

預金残高と通帳残高を合わせる

会計ソフトでも何でもいいですが、その預金帳を作成した場合は、その預金帳の残高と通帳(ネットバンク)の残高が合っているかどうかを確認します。

クラウド会計であれば、ネットバンクからデータを自動で取り込んでくれますが、これも完璧ではありません。

その日に発生した取引データがすぐに反映されるわけではなく、前月分の経理をしていると、月末に近い取引が数日遅れて同期されることがあります。

こうした取引も漏れなく拾っておく必要があります。

結局のところ、通帳を確認しながら、会計データと突き合わせて帳簿の残高をきちんと一致させる作業が必要になります。

売掛金(売上)の帳端分の計上漏れ

個人時代は売掛金をきちんと計上していなかったかたは多いかと思います。

しかし法人になると、売上は発生基準で厳密に計上しなければなりません。

例えば、11月の売上が12月に振り込まれた場合、現金基準で12月分の売上として計上していた方も多いでしょう。

売上は、発生した時点で計上します。

なので、たとえ、まだもらっていなくても、請求書ベースで売上に計上します。

決算月の売上が翌月に振り込まれる場合は、売掛金として計上する必要があります。

  • 借方:売掛金 / 貸方:売上

ここは税務調査で必ず確認されるポイントです。

普段、現金基準で売上計上していても、期末の売上は発生基準に切り替えましょう。

また、締め日が末日でなく20日締めの場合は、21日から月末までの売上が漏れています。

これらは「帳端分」として売掛金に計上します。

決算整理仕訳で対応しましょう。

マイナス表示をなくす

資産や負債の科目にマイナス表示はありません。

マイナスになっている場合は、何かの漏れや誤りがあります。

現金であれば社長借入金や社長貸付金で調整すればよいですが、そうでない場合は原因を特定する必要があります。

総勘定元帳を確認して取引内容を精査し、修正しましょう。

借入金の返済は、元金と利息に分ける

借入金を返済する場合、その全額が経費になるわけではありません。

元金部分は負債の減少であり、利息部分のみが経費になります。

元金と利息を分けて記帳しましょう。

期末棚卸資産はないか?

仕入がある事業であれば、期末時点で売れていない商品は在庫(棚卸資産)として計上します。

たとえば12月決算で、12月に仕入れた商品がまだ売れていない場合、その分は経費から控除し、棚卸資産として計上します。

仕訳は「借方:商品 /貸方:期末商品棚卸高」。

これにより、仕入がマイナスされ、期末の棚卸資産が計上されます。

正確な売上原価・粗利益が算出されます。

チェックの依頼

貸借対照表を作成するにあたって気をつけるべき点は、ここで挙げた以外にもたくさんあります。

今回は基本的な部分についてお伝えしました。

法人設立1年目は、自分で作成する場合でも、最終チェックは税理士に依頼するのがおすすめです。

資金的に余裕がない方であれば、自分で作成した上で「確認だけお願いする」という形でも良いでしょう。

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