人を雇ってどこまで給料を出してOK?人件費割合の適正値

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人を雇う前に考えること
独立直後は自分1人で仕事をこなしていても、事業が好調で仕事が重なってくると人を雇うフェーズに入ってきます。
こうした時に、どの程度の給料を払えるのか肌感覚でわかる人もいれば、「これぐらいの金額を払わなければ人は来てくれない」と、資金繰りを度外視して給料の額を決めてしまう方もいらっしゃいます。
実際のところ、人を雇ったものの資金繰りで行き詰まってしまうことも。
そうした状況にならないためにも、自身の事業がどれぐらいの給料を払えるのか?
また、どれぐらいの給料を払っても問題なくやっていけるのか?
今日はこの辺りについてお伝えします。
人を雇ってどこまで給料を出してOK?人件費割合の適正値
人件費割合は業種によって異なる
経済産業省の統計によると、全業種の労働分配率の平均は50%前後となっています。
労働分配率とは、粗利益に占める人件費の割合です。
- 人件費割合 給料÷売上
- 労働分配率 給料÷粗利益
2つは同じ人件費を表す割合でも、土台となる分母が異なります。
粗利益は、売上から仕入(変動費)を差し引いたあとの利益です。
- 売上―仕入=粗利益
卸売、製造、小売であれば仕入がありますが、サービス業だと仕入はありません。
適正な人件費を算定する場合、売上よりも、どの業種でも土台が同じとなる、粗利益を使うほうがより正確な比較ができます。
もちろん、数値は業種によって幅があります。
およそ、4割から6割が目安です。
人によるサービス提供が中心の飲食業については、60%を超えることもあります。
こうした統計には大手企業の数値が多く含まれているため、中小零細企業や個人事業主の場合は、労働分配率の割合が若干高くなる傾向があります。
私自身、4割から6割を目安にしています。
6割を超えると利益を圧迫し、赤字になりやすく、資金繰りもきつくなる印象です。
5割になると、収支はトントンか若干の黒字・赤字といったところですが、資金繰りはそれほど良くありません。
黒字で、なおかつ資金繰りが良くなるのは、労働分配率が50%未満、40%台に抑えているケースです。
ですので、個人事業やひとり社長が人を雇うのであれば、人件費の割合は粗利の50%以下と考えておくのがいいでしょう。
そもそも給料を出せる余裕があるのか?
最初はひとりでやってみて、毎月、給料を払えるだけの利益が出ているかをチェックします。
給料を出せるかどうかの指標を見る場合、法人と個人では扱いが異なります。
法人の場合は役員報酬(自分の給料)が経費に含まれますが、個人の場合は事業主の給料が経費に含まれていない点を考慮する必要があります。
法人であれば、売上から仕入を差し引いた粗利益に対して自身の給料の割合がいくらであるのか調べます。
30%で金額300万であれば、残り10%から20%を払うとすると、
- 10%だと100万
- 20%だと200万
を雇った人の給料として支払う余裕があると考えることができます。
もちろん、人件費以外の固定費がべらぼうに高ければ、新たに給料を払える余裕はありません。
個人事業主の場合は、経費に事業主の給料は含まれていません。
そのため、算出した利益からご自身の生活費を差し引いた上で、さらに従業員へ給料を支払う余裕があるかを見る必要があります。
利益=残ったお金ではない
利益はそのまま手元に残るお金ではありません。
この利益から経費に乗らない借入金の返済などの支払いが出ていきます。
個人の場合だと、さらに、自身の生活費も出ていきます。
それらの支出をすべて差し引いた上で、なお、お金が残るのであれば、残ったお金をの給料に回しても問題ないでしょう。
こういったお金の流れは、試算表や決算書だけを見ていてもわかりません。
資金繰り表やキャッシュフロー計算書を作成することによって、実態が見えてきます。
私自身、キャッシュフロー表の作成サービスを設けていますので、よろしければお声がけください。
頭のなかだけでは難しい
今日は、人を雇った場合にどこまで人件費を出せるのかについてお伝えしました。
自分1人で事業をやっていて、人を雇う場合、最低賃金と時間で決めてしまう方も多いかと思います。
しかし、その給料を払い続ける体力がご自身の事業にあるのかどうか、きちんと経理をして帳簿をつくり試算表を作成し確認しなければなりません。
通帳の残高と頭の中の計算だけで判断できれば良いですが、正確な数字を把握するのは難しいでしょう。
そのため、資金繰り表やキャッシュフロー計算書を作成することをお勧めします。
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