財産は無いほど揉める。公正証書遺言のメリットとデメリット<No 81>
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財産の分け方は大きく二つ
相続が開始すると、亡くなった方が残した財産を整理し、相続人で分ける必要があります。
いわゆる、「遺産分割」です。
遺産分割の方法には、大きく二つあります。
- 遺言書による方法
- 相続人全員で、「遺産分割協議書」を作って相続する財産を決める方法
遺言書があれば、遺言書に書かれた内容に従って遺産分割を行いますが、必ずしも、遺言書に従わなければならないものではありません。
相続人全員の了解があれば、遺言書によらない遺産分割を行うことができます。
ただし、相続人全員の了承があったとしても、遺言書に相続人以外のかた(例えば愛人など)に対する遺産の記載があれば、相続人のみによる遺産分割を行うことできません。
この場合、その方(愛人)自身が遺言の放棄をしない限りその遺言は執行されます。
そして、相続人の間で、その内容に不服があれば、裁判により遺言書の法的効果を争うことになります。
昨今、相続税の税制改正に伴い、相続税がクローズアップされる機会が増えています。
さきほどのような事例はまれであるとしても、訴訟件数は、相続財産が5千万円以下の少額の場合に最も多く、他人事だと思っているごく普通の家族の間でも起こりうるのです。
公正証書遺言のススメ
遺言書の種類
遺言書には、次のものがあります。
- 自筆証書遺言
- 秘密証書遺言
- 公正証書遺言
自筆証書遺言は、裁判所での検認手続きが必要です。
この検認手続きは、偽造や変造を防止する効果はありますが、
遺言書の有効性を認めるものではありません。
そのため、遺言書そのものの真偽を問われることも多いため、
一般的には、公正証書遺言が最も広く利用されています。
公正証書遺言の作り方
公正証書遺言は、遺言書を作成する本人と証人2名が、公証人役場へ出向き作成します。
なお、証人は、弁護士など特別の資格を有する必要はありませんが、おおむね、弁護士、司法書士や税理士など、相続に精通している方が出席します。
公証人は、事前に完成された書面を本人の前で読み上げます。
本人と証人は、読み上げられた事柄に相違がないことを確認し、署名・押印します。
署名・押印された原本は、公証人役場で保存されため、紛失の恐れがありません。
公正証書遺言は、偽造を防止する効果のほか、遺言書の内容が有効であることを保証します。
気を付けないといけない遺留分
遺留分とは、民法で定められている相続人が相続を受ける最低限の権利です。
遺言書で、相続分を定めていたとしても、「遺留分」に配慮がなければ、もめる可能性があります。
この場合、遺留分を侵害された相続人は、「遺留分の減殺請求」という制度によって、自身の相続に係る最低限の権利を主張することが出来ます。
よって、「遺言書があるから確実にもめない」ということはありません。
- 公正証書による遺言書を生前に作成しておくこと
- 各相続人の遺留分(最低限の権利)を侵害することは避けること
相続は、一つとして同じケースはありません。
しかし、生前にこの二つを守っておくだけで、かなりの「争続」は避けられるのではないでしょうか。
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