「黒字だけどお金がない」からの抜け出し方<No 1362>

お金の残高と利益はイコールでない

申告時期に、黒字で税金がかかるとわかり驚かれる方は多いでしょう。

お金が無いから赤字だろう

と思っていても、決算書が黒字であることは少なからずあります。

理由は、

お金の残高と利益はイコールでない

からです。

利益は、お金の残高をベースにしていても、同じではありません。

では、どうして、利益とお金の残高がズレるのかお伝えしていきます。

「黒字だけどお金がない」からの抜け出し方

黒字だけどお金がない理由は、利益=お金の残高ではないからです。

利益=お金の残高であれば、仮にお金がないのであれば赤字でしょうけれども、決算書が黒字であることは少なからずあります。

こうしたことが起こる理由は、

支出したお金がすべて経費にはならない

からです。

その支出が経費であるか否か

支払ったお金には経費になるものとならないものがあります。

すべて経費になっていれば、それだけ利益は圧縮されて赤字になっているはずなのですが、経費にならない支出があるので、その分だけ黒字になります。

では、お金は出ているけれども、経費にならないものにはどういったものがあるのか?

借入金の返済

代表格は借入金の返済でしょうか。

銀行口座から引き落としになる返済のうち、経費になるのは元本部分だけです。

仮に、110,000円の返済があって、そのうち元本部分が100,000円だと、経費になるのは差額の利息10,000円になります。

どうして全額経費にならないのか?

理由を簿記の言葉でいうと、元本の返済は経費でなく、負債の減少だからです。

というと、わからりづらいので、お金を借りたときのことを考えます。

元本の返済が経費になるのであれば、お金を借りたときの元本は収入(売上)にならなければ辻褄が合わなくなるのです。

同じ性質・用途であれば、入ったときに収入なら、出たときは経費になりますし、
入ったときに負債の増加なら、出たときには負債の減少になります。

言葉だとわからりづらいかもしれませんので、のちほど図で説明します。

生活費

フリーランスや個人事業のかたであれば、事業用の口座から生活費を引き出すでしょう。

この生活費は、経費にはなりません。

しかし、事業用口座の残高は確実に減っています。

月の生活費が20万円なら年額で240万。

お金の出入りがトントンなら、決算書は240万の黒字になるはずです。

黒字であってもそこから生活費など経費にならないお金が出ていきます。

赤字であれば、お金がない状態からさらにお金が出ていきます。

金融機関が赤字の事業者にお金を貸したがらないのは、こういったところにあります。
(潤沢な担保があれば別ですが)

借入金の返済や生活費以外にも、

  • 未払金の返済(負債の減少)
  • 社長への返済(負債の減少)
  • 保険の積立(資産の増加)

なども経費にならないので、利益とお金がズレる要因になります。

ブロックパズルのつくりかた

こうしたズレを知らずに、流れ作業で申告を済ませているかたも多いでしょう。

法人の経営者のかたでも、なんとなくわかっているけども、ズレの要因を明確に言葉にできないことも。

利益とお金のズレを解消するには、試算表や決算書をつくって終わりではありません。

試算表や決算書で明らかになった利益をスタート地点にして、そこからお金の流れを明確にします。

お金の流れはキャッシュフロー計算書でつくるのですが、個人向けの会計ソフトにはそこまでの機能はついておらず。

クラウド会計にはついていますが、余分な数字が入っているので実用的ではありません。

一番わかりやすいのは、数値ではなく、図にします。

手書きでもいいですが、私はExcelを利用しています。

Excelでひな形をつくって、そこに試算表や決算書の数値を入れるのです。

)お金のブロックパズル

ブロックパズルについては過去記事に書いています。

利益を上げて、お金を残すためにやるべきこと。利益が「全部」残るわけではない<No 757>

売上から変動費を差し引いて残るのが粗利益。
(変動費と粗利益の詳細についてはこちらの記事を)

利益を上げて、お金を残すためにやるべきこと。売上よりも大事なのは「粗利益」<No 753>

粗利益から固定費を差し引いたあとに利益が残ります。
(固定費についてはこちらの記事を)

利益を上げて、お金を残すためにやるべきこと。「固定費を増やすな」<No 754>

試算表や決算書だと科目が多くてわかりづらいですが、こうして図にすると単純明快でわかりやすいものです。

この利益をスタート地点にして、お金の流れをビジュアルで把握できるようにしていきます。

お金の流れを明確にする

利益とお金の残高にズレが生じるのはこの先です。

その流れを先ほどのブロックパズルに足していきます。

)お金のブロックパズル

決算書の上では利益が10で黒字ですが、そこから

  • 税金3
  • 借入金返済3
  • 生活費5

が差し引かれると、10-3-3-5=△1で赤字になります。

新たに2借り入れることで手元のお金が1になっています。

私は毎月キャッシュフロー表をつくっていますが、お客さまにはこのブロックパズルも合わせてお見せしています。

キャッシュフロー表で伝わらなかったところをビジュアルで補っているかたちです。

プロにお願いするのも一つ

税理士にお願いしていても、フリーランスや個人事業だとそこまでのアドバイスはないでしょうし。

法人でも、定型化したサービスとして提供しているところは少ないかと。

試算表や決算書をつくったら、貸借対照表の資産や負債の動きを見ながら、パズルに当てはめてみるのはオススメです。

細かい部分は抜きにして、大きな金額だけを拾っていくだけも、ズレの解消に繋がります。

自分でつくるのが困難であれば、プロにお願いするのも一つでしょう。

「利益を上げて、お金を残す」キャッシュフロー・コンサルティング

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