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免税事業者がインボイス登録すべきか否かの判定<No 1391>

インボイスの申請は強制でない

今月の12月10日に、令和4年度税制改正大綱が発表されました。

大きな改正はほぼなく、2年後から始まるインボイス制度も従来どおり進んでいくようです。

インボイス制度は、消費税課税事業者であることを証明する登録番号を国が交付することにより、
免税事業者にも消費税を支払ってもらおうとしている改正です。

これまで、免税事業者は、売上に消費税を乗せ、いただくことができながら、国に納めていなくてもお咎めはありませんでした。

今回の改正、適格請求書発行事業者の登録(以下、「インボイス登録」)は強制ではありませんが、申請しなければ登録番号はもらえません。

登録番号がなければ請求書に記載することができませんし、売上に消費税を乗せて表示させることもできません。

免税事業者のままだと、消費税を国に納めなくてもいいけれど、これまで得意先からいただいていた消費税をもらうことができなくなります。

では、免税事業者はこれからどうすべきなのか、そのあたりを解説していきます。

インボイス制度で免税事業者がやること

消費税の仕組み

消費税は、事業者が、もらった消費税から支払った消費税の差額を国に納める制度です。

もらった消費税は、売上に含まれている消費税で、支払った消費税は、仕入・外注・経費に含まれている消費税です。

消費税を負担しているのは消費者ですが、預かった消費税を国に納めるのは事業者なので間接税と言われています。

事業者が納める消費税は、あくまでも消費者から預かった税金であり、事業者の懐を痛める支出はありません。

とはいえ、預かった消費税という意識をもって避けておかないと、支払うときに大きな負担となります。

この消費税、売上が1,000万円未満の事業者については納める義務がありません。

故に、免税事業者は、これまで差額の消費税をいただいていたことになります。

今回の改正は、その免税事業者のポケットに入っていた消費税を徴収するべく制度なのです。

免税事業者がどうなるのか

今回、インボイスの登録は強制ではありませんが、記載しないことにより、取引相手の消費税が増えてしまうことが起こりえます。

場合によっては、相手がインボイス開始後に取引してくれないこともあるでしょう。

とはいえ、自社が消費税を納めている課税事業者であれば、教科書通りにインボイスの申請をし登録番号をもらい、請求書に記載すれば問題ありません。

問題となるのは、これまで消費税を国に納めてこなかった免税事業者です。

登録番号がない請求書は無効でありませんが、インボイス開始以降は消費税を記載することができなくなります。

記載できないと、その請求書を受け取った得意先は、支払った額に消費税が含まれていないことになるので、その分、国に納める消費税が増えるのです。

決算書の上では経費になっても、仕入税額控除(消費税計算上の経費)にすることができなくなるので。

登録番号の記載が請求書になければ、消費税分の価格を下げて欲しいと言われるかもしれません。

この値下げ要請、8%から10%への消費税増税に伴うものに対しては応える必要はありませんでした。

しかし、今回の改正は、少し様子が異なります。

免税事業者であることが取引相手に伝わることにより、そこに消費税は含まれていないので、消費税を抜きにした、あくまでも事業者間の価格決定の問題だと国税庁は突き放しています。

相手事業者からすると、納める消費税が高くなるのは嫌ですから、自社に対して登録番号を記載してほしいと言うでしょう。

登録番号をもらうには、消費税課税事業者となった上で、インボイス登録申請が必要です。

 一定の期間は、インボイス登録だけでOK

では今後、免税事業者はインボイス登録すべきかどうなのか?

免税事業者がインボイス登録すべきか否かの判定

免税事業者がインボイス登録して課税事業者になったときと、免税事業者のままのときを数字を使って比較します。

課税事業者になった場合

売上  550万円(消費税 50万円)
仕入 △440万円(消費税 40万円)
利益  110万円(消費税 10万円)
納める消費税 △10万円
手元に残るお金 100万円

国に納める消費税は、50ー40の差額の10万円。

残った利益110万円から納める10万円を差し引くと、100万円が手元に残ります。

こうして見ると、税抜で計算した数字となんら変わりがないことがわかります。

つまり、消費税はスルーしていくだけで事業者は負担していません。

免税事業者のままの場合

売上  500万円(消費税 ナシ)
仕入 △440万円(消費税 40万円)
利益  60万円
納める消費税 ナシ
手元に残るお金 60万円

 納める消費税はゼロで、いっけん良さそうですが。

売上価格に消費税をオンできず、仕入や経費として消費税は支払っているので、その分、手元に60万円しか残りません。

また、課税事業者でないので、支払った消費税の還付を受けることもできず。

頭のなかだけで考えていると、納める消費税10万円のことして思い浮かべませんが、
こうして見ると、課税事業者になって売上に消費税をオンした方が手元にお金が残るのがわかります。

こういうと、税務署の味方をしているようですが。

そもそも、消費税は預かり金なので、損も得もしないはず。

これまでは、免税事業者であることで、ずっと差額をもらいっぱなしでしたが、
今後は、免税事業者を選ぶことによって、手元に残るお金が減るという事態になります。

もちろん、免税事業者のままで、売上価格をこれまで通り550万円(税抜き)とすることはできますが、はたして取引先がそれを許してくれるかどうか?

この場合、学習塾などお客さまの大半が消費者である事業であれば可能でしょう。
(消費者は、消費税の申告をしないので)

結論、売上の相手が事業者でかつ、消費税の課税事業者だと、インボイス登録に応じたほうが、仕事が継続できて、かつ手元にお金が残ります。

インボイス制度が開始するのは、令和5年10月1日。

この日に登録番号を受けるには、同年3月31日までの申請が必要です。

損せずに得を取れ

これまで消費税を納めてこなかった免税事業者にとっては、あえて課税事業者になることは難しい判断かもしれません。

しかし、消費税は本来、預り金であることや、売上に乗せれば手元にお金は残ることがわかるでしょう。

損して得を取れとは言いますが、もともと損はしていないので、得しかないのかなと。

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